高校生が通信制高校を開設へ メタバース空間に来春 17歳の社長「今の時代に合う学校を」 「コミュニケーションが苦手な人や、何かに挑戦したい人もぜひ」と呼びかけ
春日部市の通信制高校「松実高等学園」に通う現役高校生で、IT先端技術会社「Blendix」の社長松田峻一さん(17)=幸手市出身=が来年4月、インターネット上の仮想世界メタバース空間に通信制高校「MVP高等学園」を開校する。コンセプトは「リアルとオンラインの中間地点」。卒業すれば、連携高校の卒業資格を取得可能だ。松田さんは「今の時代に合った既存にはない学校にしていきたい」と意気込んでいる。
■農家の手伝いから
松田さんは2007年生まれの現役高校3年生。実家は農家を営み、小学生から収穫や販売の手伝いをしていた。最初はやる気がなかったというが、「自身が育てた野菜がお金になることが面白かった」と振り返る。
野菜を毎週卸していた地元のパン店から「ホームページを作りたいけど、高すぎて作れない」と話があった。松田さんは「自分が勉強して作れるようにならないか」と考え、簡単な制作方法を学び、約3万円で制作を請け負った。「今思うと割に合っていないかもしれない」と苦笑いするが、制作のうわさは広まり、中学1、2年で50~60件ほどの依頼を受けた。顧客から怒られたこともあったが、「何かをする代わりに何かが手に入るという経験ができたことは大きい」と振り返る。
■起業して開発
中学入学は、新型コロナウイルスが流行した20年。初めて同級生と顔を合わせたのはビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で、コミュニケーションがうまく取れないと感じることもあった。
中学3年の時、インドネシア大使館とメタバース空間で交流する機会があった。その際、「メタバースであれば、オンラインによるコミュニケーション不足が解消できるかも」と可能性を感じた松田さん。交流をきっかけに、仲間とメタバース空間に学校をつくる取り組みを始めた。
当初は松実高等学園にメタバース空間で卒業できる仕組みを作ろうとしたが、「これだけ良いものなら対外的に打ち出せるのではないか」と考え直した。開発費など困難な部分が多かったため、資金を集めるために仲間と起業し、開発と並行して資金集めにも取り組んだ。
■一般高校も経験
実際の高校生活を知るため、中学卒業から約8カ月、都内の一般私立高校にも通った。「制服を着たり、クラスで授業を受けたり、全てが新鮮だった」。そこで得た良い経験はMVP高等学園に反映させ、改善した方がいいと感じたものは修正して落とし込んだ。カリキュラムはメタバース空間向けに作成。「メタバース内で完結する学校を目指す」と力を込める。
生徒の数は無制限だが、来年4月の入学は50人を目標にしている。「コミュニケーションが苦手な人や、何かに挑戦したい人もぜひ」と呼びかける。社会人の学び直しとしての入学も歓迎している。
「今はボーダーレスな時代で世界中の人とつながることができる。選択肢の一つとして、メタバースを知ってほしい」。松田さんは一人でも多くの生徒が入学することを期待している。
詳細や問い合わせは、MVP高等学園のホームページとフォームへ。










