埼玉新聞

 

江戸の水運再現 さいたま市の国指定史跡「見沼通船堀」 日本最古級の閘門式運河 水位差を調節して水路に船通す

  • 実物の2分の1に復元された船が水位の上がった水路を往復する=20日午前、さいたま市緑区

    実物の2分の1に復元された船が水位の上がった水路を往復する=20日午前、さいたま市緑区

  • 実物の2分の1に復元された船が水位の上がった水路を往復する=20日午前、さいたま市緑区

 さいたま市緑区の国指定史跡「見沼通船堀」で20日、「閘門(こうもん)開閉実演」が行われ、江戸時代の水運技術を見ようと猛暑の中、大勢の市民らが訪れた。

 市教育委員会文化財保護課によると、見沼通船堀は日本最古級の閘門式運河。1731年に芝川と見沼代用水路の間の3メートルの水位差を調節するために建造され、主に見沼田んぼ周辺で生産された年貢米を江戸まで運ぶ運河として利用された。

 実演は、地元の大牧小学校3年生の熊谷俐毅さん(8)と稲葉蒼和さん(8)の2人の号令で開始。東縁(べり)「一の関」に、角落(かくおとし)と呼ばれる板を1枚ずつ計8枚取り付けて水位を140~150センチ上昇させ、その水路で米俵を運ぶ復元船が往復した。市指定無形民俗文化財の「見沼通船舟歌」に合わせた踊りも披露された。例年8月に実施している閘門開閉実演は夏の暑さを鑑み、来年は6月に開催するという。

 市では、見沼通船堀の保存と活用を目的にクラウドファンディング(CF)型でふるさと納税を募るガバメントCFを始めた。10月29日までで目標額は130万円。寄付金は全額、見沼通船堀の景観を構成する樹木の管理や転落防止柵の修繕などに充てる。

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