埼玉新聞

 

中・高生が「ぜひ読んで」…お薦め本を発表 選んだ理由や本の魅力、観戦者に紹介 一番読みたくなった本、全員の投票で決定 さいたまでビブリオバトル 最後に選ばれた一冊は

  • 紹介した小説「オリオンは静かに詠う」がチャンプ本に輝いた市立植竹中学校3年の小南真子さん

 「さいたま市中高生ビブリオバトル2025」(市立中央図書館主催)が6日、浦和コミュニティセンターで開催された。約150人の観戦者を前に、8人の中学、高校生がそれぞれのお薦め本を紹介。最後に「チャンプ本」に選ばれたのは―。

 ビブリオバトルとは、参戦者がお薦めの本を紹介し、観戦者も含めた全員で一番読みたくなった本(チャンプ本)を投票で決めるというゲーム。8人の中高生はミステリー、歴史本、戦争に関するノンフィクションなどさまざまなジャンルの本を手に、選んだ理由や本の魅力などを5分間で紹介した。

 チャンプ本に選ばれたのは、市立植竹中学校3年の小南真子さん(14)が紹介した小説「オリオンは静かに詠(うた)う」。ろう学校に通う主人公が競技かるたの世界に飛び込み、ライバルと対戦していく物語だ。

 道徳の授業でろう学校の映像を見たことをきっかけに、耳の聞こえない世界に関心を持った小南さん。学校で開催されるビブリオバトルに向けて本を選ぶ中で、自身の好きな百人一首を掛け合わせた内容に引かれ、この本と出合った。

 校内バトルでは途中で敗れてしまったが、担任の先生から「すごくいい発表だった。(さいたま市中高生ビブリオバトルに)出てみない?」と勧められ、参加につながった。「つかみのインパクトが大切」と感じた経験を生かし、観戦者が一緒に考えてくれるよう問いかけを増やすなどの工夫をした。

 「まさか優勝できるとは」と驚きつつ、笑顔を見せた小南さん。「耳の聞こえない人だからこそ、感覚で感じられる音もある。そんな静かでにぎやかな世界に強く引かれた。ぜひ読んでほしい」と呼びかけた。

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