市長選で買収疑い 落選した元市議を逮捕 運動員に報酬として現金を供与か 県警が情報提供受けて捜査し特定 計8期、議長も経験したベテラン市議だった
7月20日に投開票が行われた飯能市長選で運動員を買収したとして、県警捜査2課と飯能署は12日、公職選挙法違反(買収)の疑いで、飯能市飯能、元飯能市議で無職、野田直人容疑者(68)を逮捕した。調べに対して「その通りで間違いない」と容疑を認めているという。野田容疑者は落選した。
逮捕容疑は投開票翌日の7月21日、選挙運動員の50代女性と共謀し、市内の選挙事務所などで、選挙運動員の20~40代の女性3人に対して、選挙用のビラ配布などの報酬として、現金合計15万800円を供与した疑い。
公職選挙法は原則として、候補者を当選させる目的で運動員に金銭などを渡したり、その約束をすることを禁じており、違反すれば3年以下の拘禁刑や50万円以下の罰金の罰則を設けている。
同課によると、野田容疑者と50代女性は知人関係で、野田容疑者が買収の提案をした。情報提供を受け、内偵捜査を進め犯行を特定。事前に運動員らに時給千数百円の支払いを約束していた。
選挙戦当時、野田容疑者の運動員は十数人おり、県警はほかの運動員に対しても同様に報酬を渡していた可能性があるとみて捜査を継続している。県警は12日、同市の後援会事務所を捜索した。
飯能市の新井重治市長は「突然のことでとても驚いている。今後の捜査を見守りたい」とコメントした。
■4回議長就任も市長選は最下位
7月20日投開票の飯能市長選は現職、元職、新人2人の計4人が出馬し、元市議で新人の野田容疑者は現職の新井重治市長(72)と共に、自民党県連からの「友情支援」を受けた。
同市が本年度から緊急財政対策に取り組んでいることを受け、野田容疑者は、市長退職金の廃止、新たな企業誘致などによる財政再建を主張。都市計画道路の改良整備事業の廃止、保育料無償化などを掲げていた。選挙戦最終日の演説では「勝たせてください」と集まった約120人の支援者らを前に涙ながらに頭を下げる場面もあったが、6599票の最下位で落選した。
野田容疑者は1989年に飯能市議選に出馬して、トップで初当選。計8期、議長を4回務めたベテラン市議だった。99年には県議選に出馬し、次点で落選していた。










