中学生が医療ロボット体験 さいたまの病院 外科医の指導で「ダビンチ」操作 定員に対して9倍の応募 参加した中学生「将来の視野が広がった」と目を輝かせる
中学生を対象にした手術支援ロボット「ダビンチ」体験が7月26日、さいたま市北区の彩の国東大宮メディカルセンターで行われた。体験を通して医療に興味を持ってもらおうと同病院が4年前から夏休みに毎年2回実施している。今年は各回4人の定員に対し9倍の応募があった。参加した中学生は「貴重な体験だった」「実際に動かしてすごさが分かった」と有意義な様子だった。
ダビンチは米国企業が開発した医療ロボット。日本では2009年に薬事承認された。泌尿器科、消化器外科、婦人科などさまざまな手術で使われている。同病院では21年に導入し、これまで500件以上の症例を成功させている。
ダビンチ手術は、内視鏡カメラや手術器具を付けたアームを医師が3次元画像を見ながら遠隔操作する。カメラは約15倍に拡大し、肉眼では見えない細い血管や神経も確認できる。アームは540度回転するため、人間の手首より圧倒的に広い可動域で、骨盤の奥での縫合など複雑な作業も可能。また、手ぶれ防止機能があり、神経や血管を傷つけるリスクも低い。出血も傷口も最小限となることから、患者の体への負担が少なく回復も早い。
体験会では、外科医の指導のもと、ダビンチの操縦席に座った中学生たちがロボット鉗子(かんし)で千円札の秘密(肉眼では見えない)に迫ったり、輪をつかんで移動させたり、模型の縫合(ほうごう)などでアームを操作した。さらに腹腔(ふくくう)鏡練習キットを使ってダビンチとは違う縫合や看護体験、手術室見学も。手術室に入る前の入念な手洗いや手術着の着方、手袋の着け方などを学んだ。
宮原中3年の辻村諒さん(14)は「腹腔鏡ではあまり手が動かせなくて縫うのが大変だったのに、ダビンチでの縫合は簡単だった。これまでより興味がわいた」と話した。開智中3年の岡田桃佳さん(15)は「ダビンチ操作がすごく楽しかった。外科は何時間も立ちっぱなしで大変だと思ったけれど、機械を使うことで違ってきていることが分かった。将来の視野が広がった」と目を輝かせた。
指導した医師の金達浩副院長・外科科長は「中学生たちがこの体験を通して、病院や医療に親しみを持ってもらえればうれしい。病院の内側、医療現場に触れることで正しい情報を得てもらいたい。そして将来、外科医になってくれたらありがたい」と笑顔で話した。










