埼玉新聞

 

4人死亡…死因は窒息、硫化水素中毒か マンホールに入る際、すでに硫化水素は基準値超…測定器の警報が鳴らないので作業続行、4人が転落直後は15倍超の濃度検知 確約していた安全帯なし

  • 作業員4人が下水管の点検作業中にマンホールに転落した現場

    作業員4人が下水管の点検作業中にマンホールに転落した現場

  • 下水道管の点検作業中に作業員が転落し、救出作業が行われた現場=2日午後2時25分ごろ、行田市長野

    下水道管の点検作業中に作業員が転落し、救出作業が行われた現場=2日午後2時25分ごろ、行田市長野

  • 作業員4人が下水管の点検作業中にマンホールに転落した現場
  • 下水道管の点検作業中に作業員が転落し、救出作業が行われた現場=2日午後2時25分ごろ、行田市長野

 行田市長野で2日、下水管点検作業員4人がマンホールに転落して死亡した事故で、司法解剖の結果、4人の死因は硫化水素中毒や窒息の可能性が高いことが4日、県警への取材で分かった。県警は関係者への聴取などで当時の詳しい経緯を調べるとともに、業務上過失致死などの事件や事故の両面で捜査する方針。

 行田署や行田市などによると、事故は2日午前9時25分ごろ発生。行田市から委託を受けた下水道調査会社「三栄管理興業」(さいたま市浦和区)が1月にあった八潮市の道路陥没事故を受けて行われた下水道の緊急点検として、下水管内を点検していた。

 亡くなったのは、加須支店の社員で行田市谷郷2丁目、本間洋行さん(53)、上尾市平塚、樋口英和さん(56)、鴻巣市上谷、松村誠さん(54)、北本市の男性(54)の4人。本間さんが最初に転落し、助けようとした残りの3人も転落したとみられる。同社によると、4人は転落防止のための安全帯を装着しておらず、地上から空気を送るためのマスクも用意されていなかった。

 同社によると、本間さんがマンホールの中に入る際には、硫化水素の濃度は国が定めた基準値(10ppm)を超える30ppmだったものの、基準値以上であることを知らせる測定器の警報が鳴らなかったため、作業を継続。しかし、4人が転落した直後には基準の15倍超の濃度が検知されていたという。

 行田市は4日、三栄管理興業が転落防止のため安全帯の使用を確約する業務計画書を6月に市に提出していたと明らかにした。4人は転落時、いずれも安全帯を装着していなかった。
 

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