時速15キロ以下で24時間通行可能 国道のトンネルが暫定開通 落石事故の発生受けて 内部は砂利道、通行は四輪自動車に限定 埼玉・秩父の国道140号、大滝トンネル
秩父市大滝強石~落合区間で建設中の国道140号「大滝トンネル」(全長2053メートル)が30日、暫定的に開通した。同市大滝大輪地内で発生した落石事故を受けて、県が実施する復旧工事期間中の対策で、一般車両が時速15キロ以下で24時間、トンネル通行が可能になった。午前10時、通行止めの一部が解除されると、トンネル開通を待ちわびていた通行者は、パトロールカーを先導にゆっくりと坑口へ入っていった。
落石事故は11日夜に発生し、現地周辺の贄川交差点~道の駅大滝温泉約8・5キロ間が長期通行止めに見舞われた。大野元裕知事は21日に現地を視察。擁壁、道路、ガードレールなどの損傷を確認し、復旧見込みは約4カ月と発表した。
林道などの迂回(うかい)で不便な生活を強いられる地域住民や、三峰、中津川方面へ向かう観光客らへの影響を考慮し、県は30日から復旧工事完了までの大滝トンネルの暫定供用を決めた。大滝内約8・5キロ間で続いていた通行止めも、同日から大輪バス停~岡本バス停付近約1・2キロ間に短縮した。
大滝トンネルは、関越自動車道花園インターチェンジ(IC、深谷市)と新山梨環状道路(山梨県)を結ぶ、延長約110キロの西関東連絡道路の一部。24年3月にトンネルが貫通し、現在は排水施設や舗装などの工事を進めている。
県によると、トンネル内片側1車線の路面は現在、砂利道になっているため、飛び石などの危険性を考慮し、通行は四輪自動車に限定。歩行者、自転車、自動二輪車は通行できない。トンネル内には仮設照明を付け、「速度15キロ以下」の看板を計6カ所に設置した。今後も交通誘導員を配置して、警察や消防と連携しながらルール順守を呼びかけていく。
秩父市によると、落石現場より山梨県側の大滝地域の住民は212世帯356人。市が実施した調査では、落石の影響でキャンプ場など民間事業者の7月中の利用客数は例年の8割ほど減少した。隣接する荒川地域の商店も売り上げ低下が続いているという。
29日の市定例会見で清野和彦市長は「路線バスの一部不通や、バイク・徒歩でのトンネル利用不可など、落石事故による影響は続くが、今回のトンネル暫定供用のおかげで、市民らの生活は大きく改善すると思う」と話していた。










