埼玉唯一の日本遺産に認定の行田市 埼玉では数少ない歴史情緒あふれるまちも訪れる人は少なく…一因は交通アクセスの悪さ 市街地にある「行田市駅」は都心から乗り換えなしでは行けず 課題解決へ貸し切りタクシーサービスを実施中
「和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田」として、文化庁から県内唯一の日本遺産に認定されている行田市。埼玉では数少ない歴史情緒あふれるまちだが、知名度や人気は蔵造りの町並みに国内外から多くの観光客が訪れる川越市に及ばない。一因となっているのが、交通アクセスの悪さ。課題を解決しようと、行田おもてなし観光局は熊通タクシー(本社・北本市)と共同で、貸し切りタクシーのサービスを行っている。
8日、ガイド役を含む6人の客が貸し切りタクシーで行田市内の名所を周遊した。一行はJR高崎線吹上駅でタクシーに乗車。古代蓮の里や埼玉古墳群、イサミ足袋本舗工場、忍城址などを1日かけて巡り、吹上駅で解散した。
6人は現役時代に会社で同期だった仲間たち。川口市の森沢太平さん(74)は初めて市内を訪れ、「古墳時代から現代まで、千年を超える悠久の歴史を体験できる場所はなかなかない」と魅力を語る。同じく栃木県芳賀町から初めて来た岩村誠さん(73)も、「1台のタクシーで回れて効率的。説明を聞けるので勉強にもなった」と喜んだ。
川越市によると、2024年の入り込み観光客数は735万8千人だった。東武東上線やJR線、西武新宿線で都心から主要スポットまで容易にアクセスでき、観光客で連日にぎわっている。一方、行田市によると入り込み観光客数は24年が160万6052人。JR高崎線の行田駅は中心部から離れ、市街地にある秩父鉄道の行田市駅は都心から乗り換えなしでは行けない。 そのため、行田おもてなし観光局は「行田観光貸切タクシー」の事業を企画。昨年6月にスタートした。利用は2時間税込み1万1600円からで、最大8時間同4万7千円。観光ガイド(別料金)を手配することもできる。
会社の同期6人組のツアーは、仲間で市内に住む島田晴義さん(75)が幹事と案内役を買って出た。ガイドを派遣する行田観光ボランティア会に所属している島田さんは、「行田は歴史と文化のあるまち。たくさんのお客さんを案内したい」と意気込む。
同局によると、貸し切りタクシーの認知度はまだ低く、利用数は伸びていない。同局事務局長の富山紀和さん(56)は「満足度の高いプランを提供できるので、可能性はあるはず。英語と中国語の案内に対応可能で、外国人の利用も期待している」と話した。
申し込みは、利用の5日前まで予約サイトで受け付け。問い合わせは、行田おもてなし観光局(電話048・577・8442)へ。










