<高校野球>叡明が初優勝 昌平を5―2で下す 春夏通じて初の甲子園へ 快進撃を続け頂点まで上り詰める
第107回全国高校野球選手権埼玉大会は27日、県営大宮球場で決勝を行い、Aシード叡明が昨夏準優勝の昌平を5―2で下し、初優勝と春夏通じて初の甲子園出場を決めた。叡明のこれまでの最高成績は99回大会の8強。快進撃を続け頂点まで上り詰めた。
叡明は二回、2死二塁で細沼が中前適時打を放ち、先制に成功。1―2の六回には笘、細沼に適時打が生まれ、3点を奪い逆転した。九回2死二塁で田口が右前適時打を放つなど最後まで攻撃の手を緩めなかった。投げては先発の増渕が8回2失点の好投。九回には右腕田口がマウンドに上がり、盤石の継投で試合を締めた。
優勝した叡明は全国高校野球選手権(8月5~22日・甲子園)に出場する。
■激闘の足取り
▽2回戦 10―0 庄和 毎回の10得点で六回コールド発進
▽3回戦 11―2 狭山経済 先制許すも二回に猛攻を仕掛ける
▽4回戦 7―0 細田学園 増渕、田口の継投で相手打線完封
▽5回戦 10―1 山村国際 先発投手田口が7回1失点と好投
▽準々決勝 8―1 聖望学園 2度の打者一巡攻撃で畳みかける
▽準決勝 12―8 山村学園 延長十一回タイブレーク熱戦制す
▽決勝 5―2 昌平 1点を追う六回に打線がつながる
■歴史塗り替え悲願
どちらが勝っても初優勝。約1万8千人の観客が見守った一戦で叡明が埼玉高校野球界の新たな歴史を築いた。埼玉大会の初優勝は2校出場の記念大会を除き、2001年の花咲徳栄以来24年ぶり。春、夏と次々に自チームの記録を塗り替えてきた叡明が悲願の甲子園出場を決めた。
2017年の夏、創部初の8強に進出。一昨年、昨年は5回戦に進むなど、近年“叡明”の存在感は増していた。しかし、現チーム発足時は「一番弱い世代」との声もあった。昨夏のベンチ入り選手は田口、根本、笘の3人のみ。新人戦でコールド負けを味わい、秋季県大会も3回戦で敗退した。
飛躍の契機は3月の関西遠征だった。選手たちは選抜大会で4強入りした浦和実に感化された。寮がなく、県内出身選手が多い。投手中心の試合づくりなど共通点の多いチームに、自分たちの可能性を重ねた。「彼らの目の色が変わり、成長がすさまじかった」と中村監督。春季県大会は初の準優勝を果たし、関東大会に進んだ。
今夏は初のAシード。重圧にも屈せず、準々決勝までの5試合をコールド勝利で突破した。常に中心的存在だった田口は「戦いながらチームが強くなった。5回戦の山村国際戦でもう一段上がった」と話す。準決勝は延長十一回タイブレークにもつれた接戦を制し、粘り強さを示した。
決勝の戦いぶりはチームの成長の証し、そのものだった。先発増渕、2番手田口の両右腕で相手の強力打線を2失点に抑えた。攻めては上位から下位まで、切れ目のない打線を体現。主将の根本は「個の能力では勝てない。チーム一丸であと一つ足りなかったピースが埋まった」と会心の勝利だった。
就任6年目で初の甲子園出場を決めた中村監督は閉会式後、選手たちの手によって胴上げされ、6回宙を舞った。「OBたちの紡いできたものを崩さずに、20人の3年生が中心となって頑張った。本当に夢のよう」。新チーム発足後の低評価を覆すべく積み上げてきた日々が、集大成の夏に報われた。










