埼玉新聞

 

埼玉オリジナルイチゴが4連覇 秩父の「ただかね農園」が生産の「あまりん」 土づくりへのこだわり 「濃厚な甘さが保たれ、デザートにも最適」 連勝記録を維持できているのは…

  • 「お客様が選ぶ!!全国いちご選手権」で4連覇を達成した、ただかね農園の高野宏昭さん(右)と奈美子さん=3日、秩父市下吉田

    「お客様が選ぶ!!全国いちご選手権」で4連覇を達成した、ただかね農園の高野宏昭さん(右)と奈美子さん=3日、秩父市下吉田

  • 「お客様が選ぶ!!全国いちご選手権」で4連覇を達成した、ただかね農園の高野宏昭さん(右)と奈美子さん=3日、秩父市下吉田

 秩父市の観光イチゴ園「ただかね農園」が生産した県オリジナル品種「あまりん」が、コロンバン(東京都渋谷区)主催の「第4回 お客様が選ぶ!!全国いちご選手権」で優勝した。2022年につかんだ初代王者以降、品質と評判を保ち続けて4連覇を達成。園主の高野宏昭さん(51)は「今年のイチゴも味、色、形ともに良好。農薬を減らして化学肥料を使わない農家の本質を大切に、5連覇を目指す」と語る。連勝記録を維持できているのは、土づくりへのこだわりと、妻の奈美子さん(43)やスタッフの技術の高さという。

■土耕栽培でうま味追求

 選手権は、全国各地の農家が生産したこだわりのイチゴを、都内のフルーツワッフル専門店「ワッフルパレット」でワッフルに包んで販売。販売個数や売り上げ、購入者アンケートをもとに総合順位を競う。今年は20種類以上のイチゴから厳選された8種が2月中に店頭に並んだ。ただかね農園のあまりんのワッフルは、千葉県産「ふさの香」などの人気品種を抑え、総合1位に輝いた。

 高野さんは「品質が安定している点を審査員から評価していただいた。土耕栽培のイチゴは実が引き締まり、濃厚な甘さが保たれるので、デザートにも最適」と話す。

 ただかね農園は1990年の開園以来、環境への負荷を抑えた循環型サステナブル土耕栽培で、イチゴのうま味を追求し続ける。現在は6棟計7500平方メートルのハウスで、県品種のあまりん、かおりん、べにたまなど計8品種を栽培している。

■ワインの搾りかす

 糖度の決め手は、秩父産にこだわった土づくり。近隣のワイン醸造所・秩父ファーマーズファクトリー兎田ワイナリーからブドウの搾りかす、太田の米生産者からもみ殻、大滝のキノコ生産者からなめこ菌、吉田久長の農家からキャベツの外葉を譲り受け、絶妙に配合。葉や枝、イチゴ狩り利用者のヘタなど、園内から出る有機物のごみも全て堆肥化、発酵させ、「ワイン堆肥」(2017年に商標登録取得)を開発した。

 ワインの搾りかすの再利用は、妻の奈美子さんが提案。かすに含まれるポリフェノールや天然の糖分がイチゴの成長促進につながり、ただかね農園が目指す「大地のいちご」作りに欠かせない素材になっている。「最近は、環境問題の学習に取り組む小中学生も見学に来てくれるようになり、イチゴづくりの活力につながっている」と奈美子さん。

 「全国各地で次々と新品種のイチゴが開発されているので気が抜けないが、今後も土づくり、目利き、摘み取りのプロがそろうスタッフと一丸で、お客さまに笑顔を届ける」と、高野さん夫妻は笑顔で話している。

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