埼玉新聞

 

高速バスに刃物を持った不審者が乗車と想定…刃物事件の対応へ訓練 乗客が不審者に気付き、運転手へ通報→駆け付けた警察官が乗客を避難させた後、不審者を確保して訓練終了

  • 高速バスから降車して刃物を振り回す犯人に扮した警察官(左)を制圧する新座署員ら=6月25日午後、新座市大和田の東武ウエスト新座営業所

    高速バスから降車して刃物を振り回す犯人に扮した警察官(左)を制圧する新座署員ら=6月25日午後、新座市大和田の東武バスウエスト新座営業所

  • 高速バスから降車して刃物を振り回す犯人に扮した警察官(左)を制圧する新座署員ら=6月25日午後、新座市大和田の東武ウエスト新座営業所

 電車やバスなど公共交通機関内の刃物を使用した凶悪事件に乗客の安全を確保するなど迅速で的確に対処しようと、新座署と東武バスウエストは、新座市大和田4丁目の同ウエスト新座営業所駐車場で、高速バス内で刃物を所持した不審者が乗車したことを想定した「バス車内における刃物使用事案対処訓練」を行った。

 訓練に参加したのは同署員や同ウエスト同営業所員、県バス協会員など計約50人。同署員が不審者に扮(ふん)した対処訓練のほか、同社の高速バスや路線バスの非常通報装置や非常口など緊急時のシステムの確認、同署によるテロ事件発生状況や不審物の発見時の対応などの講話が行われた。

 訓練に先駆けて、同ウエストの金井応季(まさき)社長は「安全安心を最優先にバス事業を推進しているが、近年は無差別の事件が発生しており、非常に憂慮している。こうした中で有事に備えた訓練ができることは非常にありがたく、これを契機に危機意識を高めていきたい」とあいさつ。

 対処訓練は、東上線ふじみ野駅発羽田空港行き高速バスが朝霞市内を走行中、後部シートに乗車した不審者がサバイバルナイフを所持しているのを別の乗客が気付き、運転手に報告。緊急通報装置のボタンを押した運転手は同営業所と暗号を交えて無線で乗客の人数など状況を報告した。

 これを受けて同営業所の職員は当該バスに新座営業所に戻るように指示するとともに110番通報。状況を把握した新座署員が同営業所に急行して待機した。帰還したバスから乗客10人を先導して降車させた後、最後に降車した不審者を取り囲み、刺股などを活用して取り押さえた。

 同署の坂巻正和警備課長は「営業所からの打診によりようやく訓練が実現した。凶器を持った犯人が市民を襲う事件が多発する中、人質の訓練とは違って県警が犯人を制圧する前に乗客を安全に誘導する訓練ができた。今後も危機感を持って安全運行に努めてほしい」と講評した。

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