山岳遭難の防止に大きく貢献 民宿に感謝状 埼玉の山で遭難件数、死者が最多の両神山 会話を通じて危険ルートの情報共有や注意喚起行う 最近はスマホで得た情報だけで入山し事故に遭うケースも
2025/07/07/10:11
小鹿野署は1日、日頃の山岳遭難事故防止活動に大きく貢献している、小鹿野町両神薄の民宿「両神山荘」経営者の山中龍太郎さん(90)、妻のマツヨさん(86)、長女の岩崎広巳さん(62)に感謝状を贈った。
両神山荘は、日本百名山の両神山(標高1723メートル)の日向大谷登山口前に1976年に創業。登山シーズンの春から秋にかけて、毎年全国各地から多くの登山者が訪れている。
山中さんは登山者に対し、登山ルートの危険箇所の情報提供や注意喚起を行っているほか、県警山岳救助隊員の活動にも積極的に協力。4月に同地区の県道で発生した土砂崩れの際は、帰宅できなくなった登山者を受け入れた。
感謝状は両神山荘で贈呈された。佐藤忍署長から感謝状を受け取った龍太郎さんは「救助活動や遭難防止の取り組みに対し、これまで数多く感謝状をいただいているが、毎回、贈呈者の感謝の気持ちが込められているので、何回でもうれしい」と顔をほころばせた。
同署によると、両神山での遭難事故発生件数は、2023年が17件18人(死者2人)、24年が8件9人(同2人)で、ともに県内の山で一番多い。
山頂へ向かう登山者を長年見守っている龍太郎さんは「昔は、会話を通して危険ルートの情報共有を行うのが当たり前だったが、最近はスマートフォンで得た情報だけを頼って入山し、事故に遭うケースが多い。登山はコミュニケーションも大切にしてほしい」と話していた。両神山荘は来年、創業50周年を迎える。現在は、同町で学校教育相談員を務める岩崎さんも民宿運営を手伝っている。地元食材をふんだんに使用した手料理で来客をもてなしているマツヨさんは「これからも、たくさんの方の胃袋を満足させたい」と笑顔で語った。










