埼玉新聞

 

特産品や地元グッズが人気 埼玉・熊谷駅観光案内所 移転オープン3カ月 売り上げ増、まちの魅力の発信地に

  • オリジナル商品や市内の名産などが並んだ熊谷駅観光案内所=熊谷市筑波

    オリジナル商品や市内の名産などが並んだ熊谷駅観光案内所=熊谷市筑波

  • オリジナル商品や市内の名産などが並んだ熊谷駅観光案内所=熊谷市筑波

 熊谷市筑波のJR熊谷駅構内に今年3月21日、オープンした「熊谷駅観光案内所」。移転リニューアルから3カ月がたち、地元産品の物販が大幅に増えている。駅乗降客らの立ち寄り利用も好調。夏の暑さで全国的に知られる半面、観光資源のPRが課題だったまちにとり、情報を発信する拠点となりつつある。

 新たな案内所は、JR改札口を出た正面2階コンコースの目立つ場所にある。熊谷市観光協会の事務所も兼ね、市内に加えて群馬県を含む周辺地域のガイドマップを置くほか、観光協会が作ったグッズや市の土産物などを販売するコーナーも新設された。案内所担当で、観光協会チーフコンシェルジュの小島新治さん(54)は「情報を仕入れてから観光に行く人も多いし、外国人も毎日のように訪れる。物販も以前に比べ、はるかに伸びている」と言う。

 従来の案内所は駅北口1階にある市の熊谷駅連絡所に併設され、市内産品の販売はしていなかった。旧観光協会事務所は、市役所に近い同市宮町のビル2階に入居。物販は一部行っていたが、販売コーナーは存在しなかった。

 5月末までの約2カ月間では、1日平均の利用者数は平日が150~200人、土日祝日は200~300人。物販、来訪者数とも旧施設の記録がないため正確には比較できないが、小島さんは「人数も、売り上げも、10倍以上になった感覚」と表現する。

 新しい案内所には冷蔵庫と冷凍庫を備え、市内の地酒や冷凍食品も扱う。利用者の反応も上々。オリジナルデザインのTシャツを買った市内の20代女性会社員は「地元の名産を見たり、知らなかった観光情報を得たりできるので、市民にとってもオープンして良かった」と喜ぶ。

 銘菓などの商品を納入する市内業者、団体の評価も高い。案内所で売れ筋の「軍配瓦せんべい」を製造する同市本町の老舗「中家堂」の5代目社長、中村年優(としまさ)さん(56)は「駅に店舗を構えられない小規模事業者にとって、案内所に品物を置かせてもらえるのは大きな利点。熊谷のことだけではなく、店や商品の情報も知っていただけるから」と歓迎する。

 同じく人気となっている「くまサブレ」を製造する市内のNPO法人「くまがや小麦の会」は、地元産小麦の商品を通じて、地域が誇る農産物の地産地消や食文化の普及に取り組んできた。会長の日向美津江さん(79)は「地元の12カ所で販売しているが、これほど売れたことは過去にない。熊谷の小麦を生かしたまちおこしにつながるのではないか」と期待を抱く。

 観光協会によると、現在も取り扱いを希望する問い合わせが途切れないという。小島さんは「コーナーの広さは限られている。季節によって商品のラインアップを変えて工夫し、まちの魅力の発信地にしたい」と意気込んだ。

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