埼玉新聞

 

心肺停止…倒れた男性客、意識不明に ロックのライブ中、熱気が高まり異変 客の中にいた看護師が心肺蘇生 店員が補助 遠くの店から店長がAEDを借り、客に電気ショック 搬送され意識回復、退院し社会復帰

  • 感謝状を手に(左から)橘内太一さん、大谷貴広さん、定方健太さん=23日、越谷市消防本庁舎

    感謝状を手に(左から)橘内太一さん、大谷貴広さん、定方健太さん=23日、越谷市消防本庁舎

  • 感謝状を手に(左から)橘内太一さん、大谷貴広さん、定方健太さん=23日、越谷市消防本庁舎

 越谷市のライブハウスでロックンロールのライブ中に観客の40代男性が倒れた。近くにいた客と店長、店従業員が救命に尽力した。市消防長は23日、心肺停止状態になった男性の救命に当たり、心拍「ハートビート」の再開に連携して対応したロックな3人に感謝状を贈った。

 感謝状を受け取ったのは狭山市に住む橘内(きつない)太一さん(29)、越谷市在住で店の従業員大谷貴広さん(50)、店長の定方健太さん(36)の3人。

 ライブハウスは同市弥生町の「EASY GOINGS」。定方さんによると、ライブハウスは気軽に音楽を楽しめ、全国から客が集うという。

 男性が倒れた5月11日夜のステージも、約300人の観衆で盛り上がっていた。ロックンロールで会場の熱気が高まり、2曲目が始まったところで、橘内さんがざわめきに気付いた。

 橘内さんは訪問看護の仕事に関わる看護師。倒れている男性に声をかけ、呼びかけても反応がない。橘内さんは「フロアに運び出した頃には呼吸が止まっていたので心肺蘇生をした」と当時の様子を振り返った。

 橘内さんは119番と自動体外式除細動器(AED)の手配を依頼。大谷さんが定方さんに伝言した。大谷さんはすぐさま男性の元に戻り、胸骨を圧迫する橘内さんをサポートした。

 定方さんは60メートル離れたドラッグストアからAEDを持ち寄り、電気ショックをかけた。定方さんは以前受けた講習で、ドラッグストアにAEDが設置していることを知っていたという。

 男性はその後、救急隊に引き継がれ意識が回復した。現在は退院し社会復帰しているという。

 23日、市消防本庁舎で徳沢勝久消防長が3人に感謝状を贈呈。橘内さんは「今後も人助けをして感謝されるような人になれれば」、大谷さんは「(男性が)社会復帰したと聞いて安心した」、定方さんは「ライブハウスに限らず、人が倒れた時にすぐに協力できるよう備えたい」と話した。
 

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