音楽ライブもできる ユニーク葬儀場 さいたま市岩槻区の「さいたまそうぎ社連盟」 スクリーンや音響も充実 映画館仕様の椅子も
葬儀場でありながら、音楽ライブも開催できるユニークな葬儀会社がある。さいたま市岩槻区の「さいたまそうぎ社連盟」。2022年6月に完成した同社のホールは大型LED(発光ダイオード)スクリーンや音響設備、ムービングライト、映画館仕様の椅子などを備える。一体どんな葬儀場なのか。
■家族葬ホール「旅立ち」
代表の関根信行さん(54)が目指すのは、その人らしさを大事に、生きた証しを表現する「ライフシアター」だ。
きっかけは友人の一言だった。「俺の葬式の時はボン・ジョヴィの『イッツ・マイ・ライフ』をかけながら、拍手で見送ってほしい。そんな葬儀屋が日本に一つぐらいあってもいいよね」。関根さんは「その言葉に納得した。『大切な人を思う気持ちを心を込めて形にします』という社是にも通じると思った」と振り返る。
家族葬では大型スクリーンを使用し、希望する画像や映像を映すことができる。お酒が好きだった人の葬儀ではバーのような背景にし、ウイスキーを飾って故人をしのんだ。生前の映像を編集して上映したり、好きだった音楽を流したりしたこともあったという。
■多目的ホール「+810」
そんな家族葬ホールだが、配信機能が付いた多目的ホール「LIVE THEATER +810(プラスハート)」も兼ねている。ヘビーメタル級の音にも対応できる防音設備を施しており、過去には音楽フェスや地域団体のクリスマス会などを開催。今月からは、葬儀を避ける人が多い友引の日に限定し、ライブ会場としての利用受け付けを始めた。
葬儀とライブ、なぜ異なる二つの機能を併せ持つホールにしたのか。10代の頃からバンド活動をしていた関根さん。コロナ禍で音楽業界が苦境を強いられるのを見て、少しでも力になりたいと配信ライブなどにも使用できる家族葬ホールを造ることを決意。木魚の音が漏れないように防音を施す必要があったことや、当時話題になっていたオンライン葬儀に活用できることも背中を押した。
家族葬や直葬が増える中、葬儀会社の経営環境は厳しくなっているといい、関根さんは「葬儀場の暗いイメージを覆すとともに、地域イベントやライブ会場としての活用で地域貢献と収益源の多角化につなげたい」と語る。










