埼玉新聞

 

家族だんらん、いつまでも…和食レストラン・とんでん、レギュラーメニューに嚥下調整食 形状やとろみ付けを工夫、食べやすくした食事 24日から提供

  • 新メニューの嚥下調整食「やわらかさざんか」

    新メニューの嚥下調整食「やわらかさざんか」

  • 新メニューの嚥下調整食「やわらかさざんか」

 和食レストランチェーンのとんでん(さいたま市南区)は、北海道と関東の「北海道生まれ和食処とんでん」全95店舗と札幌市の湯けむりの丘つきさむ温泉内の「レストランとんでん」で、食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)機能が低下した人でも安心して外食を楽しむことができる嚥下調整食「やわらかさざんか」をレギュラーメニューとして24日から提供する。

 嚥下調整食とは飲み込みやそしゃくといった嚥下機能の低下がみられる場合に形状やとろみ付けを工夫して食べやすくした食事。介護医療食品のフードケア(相模原市)がアドバイザーとなり看板商品の「さざんか」をベースに見た目や味わいはそのままに「箸で切れるやわらかさ」(日本摂食嚥下リハビリテーション学会コード4相当)に調整した。

 現在、高齢者の約10~30%が嚥下に関して何らかのリスクがあり、慢性期嚥下障害者は全国約15万~20万人と推計される。飲み込みやすいものしか食べなくなると食事に対する意欲が下がり、栄養不足や運動機能の低下を招く“食事の負の連鎖”が懸念されている。中には小児や若年層も含まれるため、駒場雅志社長は「いつまでも家族だんらんや食事の楽しみを失うことなく十分な栄養を取ってほしい。この取り組みは小さな一歩だが、(競合他社にも広がるよう)大きな一歩にしたい」と意欲を示す。

 同社では、やわらかさの目安をクリアするために専用の調理工程を設け、個別マニュアルを作成。徹底した温度管理で下ごしらえする。特にすしや天ぷらは見た目や味にこだわり試作を重ねてきた。開発担当の川口信頼さんは「口にした時のまとまりやすさややわらかさを第一に、一つ一つの素材のおいしさや風味を感じてほしい」と自信を見せた。

 同社によると、外食産業で嚥下調整食を提供するのは全国でも初の試み。他のレストランチェーンよりも高齢者の利用比率が多い特徴を踏まえて開発した。当面は1店舗当たり月に1食程度の販売を想定。今後、利用者の声を受けてやわらかさやとろみなどバリエーションの追加も検討する。

 「やわらかさざんか」は一口サイズのすし(ネギトロ、エビ、カニマヨ、イクラの4種)やうどん、エビやシイタケなどのしんじょう(すり身)で作った天ぷら、茶わんむしのセット商品で2409円(税込み)。通常メニューと異なる食材、調理工程になるため、店舗利用の4日前午前中までの予約が必要となる。

 問い合わせは、とんでん関東営業本部(電話048・838・7801)へ。

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