ふるさと納税の受け入れ額が過去最高 さいたま市 2024年度は11・6億円で前年比2倍 全国で6番目に多い約100億円の控除額、25年度はさらに10億円増の見込み 寄付受け入れ額を増やそうと返礼品の拡充に力、新たにデジタル地域通貨も
さいたま市の2024年度のふるさと納税の寄付受け入れ額は約11・6億円で、過去最高となる見通しだ。同市はふるさと納税による市民税の流出に頭を抱える中、寄付受け入れ額を増やそうと返礼品の拡充に力を入れてきた。6月からは新たにデジタル地域通貨も加わり、さらなる増加を目指す。
市財政課によると、19年度に約2700万円だった寄付受け入れ額は、21~22年度に1億円台、23年度は6億円を超えた。24年度は、約11・6億円(速報値)に達するという。
同課の担当者は、返礼品数の増加を要因に挙げる。19~21年度は約80~100品だったが、22年度末は325品に急増。その後も23年度末は625品、24年度末には1388品と拡大している。カセットコンロ(岩谷産業)や味付け海苔(のり)(いなば園)、彩果の宝石フルーツゼリーコレクション(トミゼンフーヅ)などが人気という。
6月からは新たにデジタル地域通貨「ふるさとたまポン」が追加された。寄付額は3千円~20万円で、ふるさと納税ポータルサイトから寄付を申し込むと、専用アプリを通じて寄付額の3割に当たるポイントがもらえる仕組みだ。
1ポイント1円として、市内の飲食店や宿泊施設など200以上の店舗で利用できる(有効期間は受け取り日から1年間)。市地域活性化推進室の担当者は「市外に住む人がさいたま市を訪れたり、専用アプリを使用したりするきっかけになれば」と大きな期待を寄せる。
返礼品に力を入れる背景にあるのは、市民が他自治体にふるさと納税したことで生じる市民税の減収だ。24年度課税における市民税の控除額は約100億6877万円で、横浜市や名古屋市などに続いて全国で6番目に多かった。25年度はさらに10億円ほど増える見込みだ。ふるさと納税による減収額の75%は地方交付税により国から補塡(ほてん)されるが、それでも流出額は寄付受け入れ額を大幅に上回っており、市の担当者は「少しでもその差を埋めていこうと取り組んでいる」と述べた。










