わんぱくランドなど3つの公共施設の廃止案を提案 埼玉・深谷 人口減少や少子高齢化で財政負担軽減へ再編を推進 「公民館では代替できない」市民団体が反対署名
深谷市の公共施設「くれよんかん」(萱場)、「はたらふれあい館」(東方)、「仙元山公園遊園地(わんぱくランド)」(上野台)を2025年度末で廃止する議案が、開会中の6月定例市議会で提案されている。少子高齢化や人口減少などで今後厳しい財政運営が見込まれ、市は財政負担軽減のため公共施設の再編を推進しているが、市民団体が反対の署名を相次いで提出するなどして反発している。
「もし施設が廃止されたら公民館では代替できない」。5月29日午前、深谷市役所で、市民団体「『くれよんかん』『はたらふれあい館』の存続を求める会」の今井謙次郎代表(80)が小島進市長らに思いをぶつけた。同会は3月に発足し、4月下旬から署名活動を始め、両施設の存続を求める3123筆の署名を小島市長に手渡した。
市公共施設等総合管理計画では、13年度から52年度までの40年間で公共施設の総延べ床面積を25%削減することを目標としている。公共施設の更新費用は40年間で総額約1463億円で、平均費用は年間約36億5千万円。一方、現在の予算規模で公共施設の整備に充てられる平均金額は年間約28億5千万円で、現状の1・3倍の費用がかかる。
市によると、04年建築のくれよんかん(延べ床面積285平方メートル)は24年度の利用者が1万1424人で稼働率22・4%、07年建築のはたらふれあい館(同306平方メートル)は24年度の利用者が8577人で稼働率20・5%。第2次市公共施設適正配置計画に基づき、25年度末で廃止し、機能を公民館に集約させ、くれよんかんは地元自治会、はたらふれあい館は市シルバー人材センターが活用することが検討されているという。
6月定例市議会では、1973年建築のわんぱくランド(同1030平方メートル)を2025年度末に廃止する議案も提案されている。同施設の利用者は24年度が13万7764人だが、老朽化が進行していることから、来年4月開館の「(仮称)市こども館」などに機能を集約する方針。別の市民団体「わんぱくランドの存続を求める会」も5月16日に同施設の存続を求める5699筆の署名を市に提出している。
市は土地と建物解体をセットにし、解体後には負担金を支払う「マイナス入札」を全国で初めて実施するなど、未利用市有地の有効活用も進めている。5月29日に署名を受け取った小島市長は「つらい立場で、将来のことを考えると、公共施設の適正配置はやっていかなければならないが、声はしっかりと受け止めたい」と苦しい胸の内を明かした。
地域で人口減少が進む中で、公共施設をどこまで維持し、どう維持していくのか、大きな岐路を迎えている。










