埼玉新聞

 

豊かな森林を未来へ 埼玉で植樹祭 天皇陛下が苗木をお手植え 埼玉での開催は1959年以来66年ぶり

  • 第75回全国植樹祭で県の木「ケヤキ」をお手植えする天皇陛下=25日午後2時半、秩父ミューズパーク

    第75回全国植樹祭で県の木「ケヤキ」をお手植えする天皇陛下=25日午後2時半、秩父ミューズパーク

  • 第75回全国植樹祭で県の木「ケヤキ」をお手植えする天皇陛下=25日午後2時半、秩父ミューズパーク

 第75回全国植樹祭が25日、秩父ミューズパーク(秩父市、小鹿野町)で開かれた。天皇陛下をはじめ全国から4558人が参加し、「人・森・川 つなげ未来へ 彩の国」をテーマに、健全で豊かな森林を未来へ引き継いでいくことを誓い合った。県内での開催は1959年に寄居町金尾山で行われた第10回以来66年ぶり。

 式典で天皇陛下は「私もかつて武甲山や雲取山、両神山などに登ったことがあり、森林や渓谷などの美しい自然に魅了されたことを今でも懐かしく思い出します。森林や緑を守り育てる活動が今後とも多くの人々によって支えられるとともに、次の世代に着実に引き継がれ、発展していくことを期待します」とのお言葉を述べた。

 天皇陛下によるお手植え・お手播(ま)きでは、県の木として県民に広く親しまれているケヤキや、本県の林業を担う少花粉のスギ、県西部の山地に広く自生するトチノキの苗木を植えられ、少花粉のヒノキとアカシデの種をまかれた。県北西部などで森林づくり体験や奉仕活動に取り組む「緑の少年団」の児童らが介添えを務めた。

 大野元裕知事はあいさつで「多彩な魅力を持つ本県には県土の約3分の1を占める恵み豊かな森林がある。この大会を契機に、県民全体で森林を守り育てるとともに、森林資源の循環利用を図る活樹の重要性を発信していく」と決意を示した。

 大会テーマの表現では、いずれも県内出身の林家たい平さん、朝日奈央さんがナビゲーターを務め、「日本の公園の父」と呼ばれ、全国各地の公園設計に携わった本多静六博士の功績を紹介。本多博士に扮(ふん)した声楽家の原田勇雅さんがオリジナル楽曲を歌い上げ、水の循環と森の関わりに寄り添う人の営みをストーリー性豊かに表現した。

 緑化運動や緑化コンクール入賞者、緑化功労者の表彰も行われ、森林資源の循環利用を促進する“活樹”の推進などを盛り込んだ大会宣言を採択した。リレーセレモニーでは大野知事が来年の開催県である愛媛県の中村時広知事に大会シンボルの木製地球儀を引き継いだ。

 天皇陛下は同日、秩父神社で小鹿野子ども歌舞伎の口上を鑑賞され、秩父夜祭で使用される笠鉾(かさぼこ)や屋台をご覧になった。

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