咲いたのは120年ぶり!? “謎の花”クロチク開花 埼玉・川口の加藤さん 枯れる前に「研究に役立てば」
川口市芝下の加藤京子さん方で120年に1度、花を咲かせるというクロチク(黒竹)が開花し、周囲を驚かせている。加藤さんは「色鮮やかできれいな花ではないかもしれないけれど、必要とされる方の研究に役立てば」と話している。
クロチクは中国原産のイネ科のタケの一種。国内には園芸用などとして、もたらされたとみられ「稈(かん)」と呼ばれる幹に当たる部分や、地下茎が黒く、観賞用や工芸品の材料などとしても使われている。
植物に詳しい川口市立グリーンセンター技師の鈴木達也庭園係長によると、120年に1度の周期で花を咲かせるといい、開花後は数年内に枯れてしまうことが多いという。
同園ではこれまでに「ハチク(淡竹)」が花を咲かせた報告はあるが、鈴木さんによると近年、周辺での開花事例はなく、そもそもタケの開花は謎に包まれているという。
鈴木さんは「クロチクや竹の中には一斉に花を咲かせるものがあり、まれに種が取れることもあると聞きます。なぜ、どのような条件で花を咲かせるのか分かりませんが、たいへん珍しい現象」と話す。一部にみられるタケの開花は不吉の前兆とする言い伝えについては「裏を返せば、それだけ珍しい出来事ということ」とこれを一蹴する。
加藤さん方のクロチクは2014年に杉戸町内の園芸センターで購入した。日本風の庭造りをしたいと玄関前の植え込みに植えられ、現在の高さは約150センチ。4月中ごろ、とがった麦の穂の固まりのような花が一斉に、一気に咲き始めた。花の先には雄しべとみられるものが垂れ下がる。「初めは虫がついたか、葉が病気になったかと思ったのですが」と加藤さん。写真を撮り、インターネットで調べて花と分かったという。
クロチクは現在、葉の色が茶色を帯び始め、あまり元気がない様子という。加藤さんは「あとどれくらい花が咲くか、あるいは枯れてしまうか分かりませんが、研究で必要な人のお役に立てば。半分ぐらい、残ってくれるとうれしい」と話している。










