不祥事影響に「不名誉」 決算2年連続不認定 問われる組織改革 職員の不祥事が相次ぐ/検証清水市政4期目 2025さいたま市長選【下】
埼玉県さいたま市では近年、職員の不祥事が相次いでいる。
2021年には区役所職員が生活保護費を計1271万円不正支出していたことが発覚。23年には公衆街路灯の発光ダイオード(LED)化事業で債務負担行為の設定が追加決議されず、地方自治法違反となる問題が起きた。昨年は、与野まちづくり事務所の担当職員が内部手続きを無視して市長印を無断で使用し、市有地を売却。懲戒免職の処分を受けた元職員は今年4月に、さいたま地検に有印公文書偽造・同行使罪で在宅起訴される事態になった。
市議会定例会では、23年は地方自治法違反となった問題などが影響して、22年度の一般会計の決算議案が7年ぶりの不認定。昨年は市有地が不正に売却されたJR与野駅西口土地区画整理事業に関する会計処理の妥当性に疑いがある点などを理由に、23年度分が認定されなかった。
■再発防止策機能せず
市議会局議事課によると、さいたま市が誕生した01年以降、前年の一般会計決算が2年連続で不認定となるのは初。予算の執行に影響はないが、市の中堅職員は「本来ならあり得ないことが起きてしまい、市民の信頼を損ねている。不名誉だし、恥ずかしい。決算が不認定ということは『前年の1年間、何をしていたのか?』と問われても仕方がない」と強い危機感を抱く。
清水勇人市長は昨年10月の9月定例会閉会あいさつで決算不認定について「結果を重く受け止めるとともに、市政の信頼回復に向けて職員一丸となって取り組む」と述べた。
市は不祥事が起きるたびに組織体制の改善や全職員を対象とした研修などの再発防止策を講じてきた。しかし、機能していたとは言い難い。土地売却事件では元職員が市有地を優先的に売ってほしいという相手方からの再三の求めに屈した。ある市議はコンプライアンスや内部統制などを挙げ、「この辺の意識改革が遅れているし、弱いのではないか」と指摘。「不当な要求に対しては、上司や局全体で対応していく組織風土を構築していかないと」と語気を強めた。
■17項目「全て重要」
市の調査検討会議では外部有識者2人の提言も加味し、公印使用簿作成の義務付けなどの「公印の管理」を含めた「組織体制」「財産管理」の三つの観点で17項目の再発防止策を作成、実践している。市法務・コンプライアンス課の佐伯真琴課長は「どれが重要という優先順位はなく、全てが今回の不正につながっていて重要。再発を防止する観点から、ここまでやらないといけないという市の姿勢や決意の表れ」と強調した。
昨年4月の問題発覚後、これまでに市議らからは調査の透明性を高めるため、第三者委員会の設置を求める多くの声が上がっていた。「新たな事実が判明した場合に検討する」などと設置を見送ってきた中、市は今年3月の市議会2月定例会中に第三者委を設置する条例案を提出。市の内部調査の結果や再発防止策の有効性の検証を行うなどとし、4月30日に初会合が開かれた。
第三者委設置を求めてきた市議の1人は「フジテレビの問題でもそうだし、利害関係の絡まない専門家に公正的、客観的に見てもらわないと。市民も納得できないよね」と語った。別の市議もこう警鐘を鳴らす。「1人に責任を負わせるのは無理がある。組織として絶対に不正をしてはいけないという文化を醸成しないと、同じことがまた起こる」










