主従の関係性、文から伝わる…藩主自筆の書状、30通は今回が初の展示 行田の郷土博物館で新収蔵品展 まとまった数が見られる機会は希少 走り書きのような文字で業務連絡も 30日まで
行田市本丸の行田市郷土博物館で、新収蔵品展「阿部家・松平家の重臣たち~藩主自筆書状と伝来品~」が行われている。忍藩を治めた阿部家や松平家から、重臣たちに送られた藩主自筆の書状を公開。内容や筆跡には、領主の心の内や家臣との関係性が表れている。30日まで。
収蔵品展では、初公開36点を含む計60点の資料を紹介している。このうち、32通は藩主から重臣に届けられた書状で、30通は今回初めて展示されるもの。藩の要職を務めた海野家と平田家、山田家の子孫から、2023年に同博物館へ寄贈・寄託された。
海野家文書は、藩主の阿部正能、正武親子から弓術師範だった家臣の海野景充に送られた書状となっている。江戸・浅草や京都の三十三間堂で行われた通し矢に参加した景充へのねぎらいや、弓の稽古に関係する内容だ。「私信」とも言える書状だが、丁寧な書体でつづられている。景充は臣下でありながら、弓術では藩主の師匠でもあり、担当学芸員の沢村怜薫さん(38)は「人間同士の親しみが伝わってくる」と言う。
平田家文書では、藩主の阿部忠秋から平田重政に送られた書状30通を1本の巻物にした「忠秋公御自筆之御書」を展示。重政は計121通の書状を4本の巻物にまとめたが、公開されたのは現存する2本のうちの一つ。重政は忠秋の秘書役を担っており、業務連絡が走り書きのような文字で記されていた。沢村さんは「当時の政治がどのように進められていたのかが読み取れる資料だ」と評する。
10、17、24日の午前11時~正午には、学芸員による展示解説会(申し込み不要)を行う。沢村さんは「これだけまとまった数の藩主自筆書状が見られる機会は少ない。じっくり味わっていただければ」と話していた。
午前9時~午後4時30分(入館は同4時まで)開館。月曜、7、23日休。入館料は一般200円、高校・大学生100円、小中学生50円。問い合わせは、同博物館(電話048・554・5911)へ。










