埼玉新聞

 

防災倉庫には何が?プライベート空間やトイレは?「避難所では生活できないかも」と危機感…防災イベントコーディネーター、所沢で避難所開設を疑似体験するシミュレーション開く

  • 地域で連携した防災イベントを手掛ける佐々木裕子さん

    地域で連携した防災イベントを手掛ける佐々木裕子さん=1日、所沢市内

  • 地域で連携した防災イベントを手掛ける佐々木裕子さん

防災イベントコーディネーター(埼玉県所沢市) 佐々木裕子さん

 「災害の関連死をゼロにしたい」。「防災のゆうころん」として地域で防災イベントを手掛ける佐々木裕子さん(42)が、避難所の開設を疑似体験する「避難所開設シミュレーション」を開いている。地域住民が当事者として取り組むことで、「防災倉庫には何が備蓄されているか、日曜日は誰が体育館の鍵を持っているか、誰も知らない」と、課題が見えるという。

 17歳の時に皮膚がんを発症。抗がん剤治療を経て克服したが、頭痛や体の痛みによる嘔吐(おうと)が日常的に襲った。震災のニュースを見るたびに、「避難所では迷惑をかけてしまうし、生活できないかも」と、危機感が募った。4児の母になると、子どもの安全にも不安を感じ、「プライベート空間やトイレの問題も気になった」と話す。

 PTAで子どもたちの避難経路を見直す講習などを企画。昨年7月に、所沢市の協力を得て初めて避難所開設シミュレーションを実施し、小学校の体育館に約60人が集まった。今年2月には防災に関心がある仲間と共に第2回を実施し、水の確保、トイレ確保、居住スペース作成などのミッションにグループごとに挑戦。方針を巡って話し合いに時間がかかるグループもあり、被災時の混乱を体感した。

 佐々木さんは「何度も集まって、自助も共助も公助も、みんなで把握しておくことが大事」と訓練の重要性を語る。9月には自治体や企業の防災に関する取り組みを紹介するイベントを実施する予定だ。「企業も自治体も素晴らしい取り組みをしているので、地域とのつながりをつくっていきたい」と語った。

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