道路陥没…下水道管の中で現場を確認へ 硫化水素やがれきの状況調べる 安全が確認できれば捜索活動を再開へ
八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故で、県は30日、早ければ5月1日にも、下水道管内に人が立ち入って現場を確認する作業に着手すると明らかにした。管の内部に人が立ち入って捜索するのは事故後初めて。安否不明となっている70代の男性運転手は、下水道管内にある運転席部分に取り残されているとみられ、有毒な硫化水素やがれきの状況を調べ、安全が確認できれば捜索活動を再開する方針。
大野元裕知事は同日の定例会見で「下水道管内の状況を見ながら、これまでは遠隔で行ってきた現場確認に加え、人による確認を行う準備を進めている。早ければ明日にも人による現場確認を行う可能性が出てきている。一日も早く救出に着手できるよう引き続き最善を尽くしてまいりたい」と述べた。
男性の救助を巡っては、2月5日のドローン調査で下水道管内に運転席部分らしきものが発見され、男性が残されている可能性が示された。地域消防や自衛隊、応援に入った東京消防庁なども、地域消防が実施している活動以上の手段は見いだせず、県が2月11日に方針を固めた土木的措置によるアプローチが続いている。
県は破損した下水管から汚水を迂回(うかい)させるためのバイパス工事が、4月24日におおむね完了したことを発表した。その後、運転席部分を重機などで引き上げるための垂直方向の立て坑と、上流方向からアプローチする穴の掘削を終え、当初5月中旬としていた運転席部分へのアクセスを数日前倒しできる状況となっていた。
排水が分岐する人孔部で水をせき上げ、合流部でも逆流を防ぐ形で止水し、ポンプなどを使って水を抜く作業を進めるとともに、硫化水素が充満している場所があることも想定されることから、掘削した2カ所から風を送って換気するなどして、人が立ち入って調査を行うための条件を整えた。
調査では運転席部分の周囲の状況を確認し、得られた情報を基に、本格的な救出作業に必要な装備などを検討するとみられる。
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八潮道路陥没事故 1月28日午前10時ごろ、中川流域下水道管の破損に起因すると思われる陥没が発生し、転落したトラックの運転手男性が安否不明となっている。陥没箇所には1983年に供用開始された下水道管が通り、関係する12市町に対する時限的な下水道の使用制限や未処理水の緊急放流も行われた。内閣府は当初、今事案が災害には当たらないとしたものの、その後、1月29日にさかのぼって災害救助法を適用した。










