埼玉新聞

 

川口市消防局に女性初!水難救助隊員と救助隊員が誕生 要救助者が女性なら…体に触れることや話しやすさ、女性隊員の方が良い場合も 厳しい訓練重ねた2人、職務へ意欲「市民のために」

  • 女性初の水難救助隊員となった鈴木宏美さん(右)と、救助隊員の中村茉奈さん

    女性初の水難救助隊員となった鈴木宏美さん(右)と、救助隊員の中村茉奈さん=7日、川口市芝下の川口市消防局

  • 女性初の水難救助隊員となった鈴木宏美さん(右)と、救助隊員の中村茉奈さん

 川口市消防局に今月、女性としては初の水難救助隊員と救助隊員が誕生した。日々の職務に加え、特に厳しい訓練や研修を積み重ねた2人はともに「市民の皆さまのために」と職務へ意欲を見せている。

 水難救助隊員となったのはさいたま市出身の鈴木宏美さん(26)。2021年4月に採用され、23年4月に県消防学校第147期初任教育入校、現在は市南消防署南平分署消防第2係水難救助隊で勤務している。鈴木さんは大学の部活動でライフセービングを経験し水難救助に興味を持った。「筋力や体力で男性が優れている部分は確かにある。要救助者が女性だった場合は、救助の際に体に触れることや話しやすさは女性の方が良い場合もある。訓練で自信をつけたい」と抱負を述べる。

 救助隊員の中村茉奈さん(27)は新潟市出身で22年4月に採用。深谷市消防本部で県内で初めて女性救助隊員となった田辺早保さんとは県消防学校第148期初任教育の同期で、現在も「一緒に頑張っていこう」と連絡を取り合う仲という。中村さんは「要救助者が女性隊員の声かけで安心してもらえる場面もある。時には他の隊員に頼ることもある。私自身が『生きる』役割や業務を意識し、訓練して励みたい」と話す。

 市消防本部によると市の消防職員596人に占める女性の割合(1日時点)は6・4%(38人)。全国平均の3・5%(23年4月=消防白書)を大きく上回り、さらに総務省消防庁の目標値5%(26年度当初まで)も上回っている。同本部ではこれまでに、庁舎の女性用トイレを増やしたり、交代制勤務へ女性専用の仮眠室、洗面所、浴室を設けるなど、女性がより活躍しやすい環境の整備に力を入れてきた。

 今月から県内初の女性消防署長となった市消防局南消防署の鈴木亜弥子署長(58)は「消防のどの部門にも男女両方がいた方がいい。男性に気が付かないことに女性が気付き、女性にできないことを男性ができる場合もある。それが一つのチームをつくることで市民を助けることができるのでは」と話している。

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