理解できない…いじめられた男児の卒業文集、学校が修正を要求 「笑顔を大切に」の文章に学校「特定されるかも」、男児の親「修正しない」…その後撤回し原文を掲載へ 理由不明「最初から要求しないで」
2022年度にさいたま市立小学校で、当時小学4年の男子児童がいじめが原因で一時不登校となり「重大事態」と認定された問題で、現在6年生の男児の自身のいじめ体験を書いた卒業文集が原文のまま掲載されることが21日、分かった。学校側は昨年12月に「個人(加害児童)の特定につながる可能性がある」として、一部の修正を求めていたが、要求を撤回した。
関係者によると、「笑顔」と題した作文の中で、男児は4年生の時にクラスメートから暴言や暴力を受けて学校に行けなくなった体験を記した上で、支えてくれた人たちへ「いつか恩返しできるように努力していきます」と感謝の気持ちなどをまとめた。
12月16日に学校に作文を提出。同20日に文中のクラス名を示した言葉に関して「個人の特定につながる可能性があると思われるので、一度相談させてほしい」などと修正を求める旨の連絡があった。
その後、今月17日に校長から「修正せずに、そのまま掲載します」と弁護士に電話があった。方針転換の理由は述べていなかったという。
男子児童の保護者は埼玉新聞の取材に「息子の書いた文章がそのまま掲載されることは良かったが、当初から修正要求しないでほしかった」と語った。学校側は事実関係や理由について「個別の案件につき、回答は控えさせていただきます」としている。
■「文書の中の『四年〇組』の言葉が…」(以下、初報記事)
2022年度に埼玉県さいたま市立小学校で、当時小学4年の男子児童がいじめが原因で一時不登校となり「重大事態」と認定された問題で、現在6年生の男児が、自身のいじめられた体験を卒業文集に書いたところ、学校側から「個人(加害児童)の特定につながる可能性がある」として、修正を求められていたことが分かった。男児の保護者は「応じるつもりはない」としている。
関係者によると、男児が作文を書き上げ、今月16日に提出したところ、20日に校長の名前で、「文書の中の『四年〇組』の言葉が、個人の特定につながる可能性があると思われるので、一度相談させてほしい」と修正を求める旨のメールが弁護士宛てに届いた。
男児は、「笑顔」というタイトルの作文の中で4年生の時にクラスメートから暴言や暴力を受けて学校に行けなくなった体験を記した上で、心配して、支えてくれた人たちへの感謝を胸に、「いつか恩返しできるように努力していきます」「『笑う門には福来る』のことわざを信じて、僕は笑顔を大切に生きていきます」と締めくくっている。
男児の保護者は埼玉新聞の取材に「担任の名前も加害児童の名前も書いていないので、特定されると言われることは理解できない」とし、「今のところ、修正の要求に応じるつもりはない」と述べた。
学校側は「個別の案件につき、コメントは差し控える」としている。
一連の問題で市教育委員会は23年10月、いじめ防止対策推進法の定める「重大事態」と認定。いじめの経緯や事実関係、学校側の対応が適切だったかを調査する第三者委員会を設置して、これまでに被害児童本人や保護者から聞き取りを行うなど複数回実施している。










