優秀作品紹介

特選・埼玉県知事賞

「秩父連山」 撮影地:秩父市(美の山公園)

撮影者:佐藤信弘さん(飯能市)

 美の山山頂からの雄大な山並みと雲海。そして、まだ明けやらぬ群青色の空には、大きな鳥が羽根を広げたような雲がかかる。しかも、上空に展開する上層雲と雲海の一部が、朝日を浴びてオレンジ色に神々しく輝いている。撮影者は3時起きして狙ったというが、その甲斐があって、秩父連山を望む壮大でドラマチックな夜明けシーンを見事に捉えることができた。

準特選・埼玉県緑化推進委員会賞

「夜のメルヘン」 撮影地:飯能市(トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園)

撮影者:山口昇さん(入間市)

 夜のとばりに包まれた「トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園」でのワンショット。夜景の右側にライトアップされた黄色く色づいたアケボノスギを、そして中央にブルーのスナフキンの水浴び小屋と人物を入れ、中央やや上に月を写し込むなど、いろいろ計算しての画面構成である。その甲斐があって、タイトル通りのイメージにまとめることができた。

準特選・埼玉新聞社賞

「頂上のさらに上には…」 撮影地:長瀞町

撮影者:馬場歩さん(上尾市)

 ロウバイなどで知られる宝登山山頂付近の緑あふれる森の中、3人の少女が太い藤づると戯れているが、ふと、動きを止めて上を見つめる。上の方に何があるのだろう。木もれ日が地面を照らしその反射光が彼女らの表情を際立たせることにより、森と親しむ様子がほのぼのと伝わってくる。

優秀賞・ダイドードリンコ賞

「初夏の龍神淵」 撮影地:飯能市

撮影者:庄司博さん(日高市)

 緑の濃さから推測して初夏の頃か、木々の葉を通して透過する光が涼しげな雰囲気を醸し出している。右奥から左手前にかけ、沢音を立てながら流れる渓流をスローシャッターで捉えることで水の流れが白く強調され、清涼感が増している。水の流れる沢音が聞こえてくるようだ。

優秀賞・埼玉りそな銀行賞

「間伐作業」 撮影地:飯能市

撮影者:鴨下榮太郎さん(飯能市)

 きれいに間伐作業が終わった森の中、左脇に玉切りされた間伐材が積まれており、その脇をフォワーダが通過する。その荷台に間伐材を積載し、運び出している様子がうまく捉えられている。走行するフォワーダのエンジン音が林内に響き渡って来るかのようである。森の手入れの様子がこのワンカットでわかる内容となった。

優秀賞・埼玉県治山林道協会賞

「花郷に遅雪」 撮影地:東秩父村

撮影者:村上勇さん(深谷市)

 近年、注目の東秩父村「花桃の郷」。荒廃した農地に地域住民が、花桃、桜など約5千本もの花木を植栽したもので、春先は格好の撮影スポットとなる。花桃などが咲き揃う「花の郷」上部のスギ林には前日まで降っていた雪が薄らと残っている。その冬と春の共演を一コマの中に見事に活写した。

優秀賞・日本製紙賞

「雄大な山脈やまなみ 撮影地:飯能市(有間峠)

撮影者:浅見彰夫さん(飯能市)

 名栗地域の山々はさほど高い山ではないが、写真に写る山々は奥深く険しく見える。その訳は、湖を挟んで白い雲が手前から左上奥にかけ、山襞に張り付くようにたなびいている様をバランス良く写し込んでおり、しかも逆光でアンダー気味に露出を抑えたためである。その結果、「深山幽谷の感」を表現することができた。難しい題材をうまく処理した技術が光る。

優秀賞・AGS賞

「山の桜」 撮影地:飯能市(棒の嶺)

撮影者:原澤宏さん(飯能市)

 飯能市と青梅市の堺にある標高969mの 棒ノ嶺(ぼうのれい)。表示板のそばに佇む大きなヤマザクラは、知る人ぞ知る存在である。そのヤマザクラと星空をインターバル撮影し、美しくまとめあげた。青い夜空の星の光跡とピンクのサクラの対比が見る人の目を惹く。真っ暗な現場での撮影はどれほどであったろうか、その苦労に思いを馳せる。

審査総評

 29回目を迎えた埼玉森林フォトコンテストは、応募点数448点と昨年の応募点数をわずかだが上回った。今回は新型コロナウイルス感染症の拡大で緊急事態宣言が発出されて不要不急の外出を控えるよう求められ、春先のさまざまな行事や各種イベント等の中止など、過去に例がないような事態が続いている。このような背景から「応募点数がかなり減る」と思われていたにもかかわらず、若干ではあるが昨年を上回る結果となったのは、望外の喜びである。

 今年の内容傾向だが、外出自粛の要請に伴い、春先の花見風景や美しい桜の開花シーン、春のイベントなどの作品は例年より少ない印象であった。しかし、昨夏から今春までのさまざまなシーンが活写されており、その内容は多種多様で審査過程において審査員を悩ませることとなった。また、月の光で撮影したりインターバル露光で星空と桜を組み合わせ撮影するなど、これまでにない手法で撮影した作品が登場するなど、目を惹く作品も多かった。今後とも従来の撮影方法による撮影はもとより、新たな着想による撮影方法にも果敢に挑戦していただくことに期待を寄せたい。