佳作紹介

「ご神木の整枝」 撮影地:長瀞町

撮影者:武内道直さん(寄居町)

 近年、危険を及ぼしそうな樹木を安全に伐採する技術を持った「空師(そらし)」が各地で活躍しているが、このカットもご神木の枯れた大枝を空師がワイヤーの先にぶら下がり、切っているところである。あたかもサーカスの曲芸師のような立ち振る舞いが鮮やかに収められている。作業者の表情がもう少し分かると訴求力が増した。

「霧湧く朝」 撮影地:皆野町(美の山公園)

撮影者:佐藤常利さん(皆野町)

 秩父盆地では、夜、地表付近の空気が冷えて霧が発生し早朝にかけて雲海として見られる。撮影者は、事前に予想して早朝に出かけたという。そして、予想通りこの時期特有の地表を這うような霧と、紅葉の残る山並みが織りなす美しい光景をカメラに収めることができた。自然が造るダイナミックな映像に心を奪われる。

咆哮ほうこう 撮影地:秩父市(秩父今宮神社)

撮影者:原和幸さん(秩父市)

 樹齢千年といわれる欅の龍神木。撮影アングルでさまざまに巨樹の表情が変わるが、この角度で枝を広げる様は、撮影者の言葉を借りれば「何かを叫んでいるかのよう」である。迫力満点の巨木の表情をうまくまとめたが、背景に人の姿が映り込んでいるとスケール感がいっそう増した。

「森は語る」 撮影地:嵐山町(嵐山渓谷)

撮影者:新堀勝彦さん(日高市)

 紅葉の景勝地、嵐山渓谷。紅葉真っ盛りの河畔に小型犬を伴った5人連れの女性グループがくつろいでいる。赤く空を覆う紅葉したカエデとその姿が渓流のよどみに反射して、全体が紅葉の世界に包まれているかのような不思議な世界を映し出している。何気ない誰もが見逃してしまいそうな場面を見つけ出したカメラアイが素晴らしい。

「立沢の虫送り」 撮影地:皆野町

撮影者:風間大治さん(秩父市)

 虫送りは、悪霊や悪疫を虫に例え、災いがないようにと送り出す伝統的な祭事である。撮影者の風間さんは、長年、この虫送りの行事を撮影しておられ、今年もその作品を送っていただいた。「梵天」と呼ばれる色鮮やかな飾りが揺らめき、山畑の中を練り歩く様は背景の深緑のスギ林に映える。かつての山村に暮らしてきた人びとの生活(くらし)が蘇るシーンである。

「カタツムリ」 撮影地:越生町

撮影者:厚目正さん(毛呂山町)

 伐採されたばかりのスギの切り株にカタツムリが一匹、しかも、ささくれ立った木片の先端にはい上がっている。しかし、その先には何もない。「エッ、どうして?」といった言葉がぴったりの仕草である。そのカタツムリの戸惑っている瞬間の様子をうまく捉えているだけに、タイトルに工夫が欲しかった。

「山寺奉仕」 撮影地:東松山市(正法寺)

撮影者:荻野利夫さん(熊谷市)

 樹齢300年を超す大イチョウに、寄り添うようにポーズをとる年配の女性ら。清掃奉仕に参加しているところだという。よく見ると笑顔を浮かべ、ややはにかんだような表情だ。きっと、撮影者にポーズをとるように求められたに違いない。写真からは、清掃を通じて女性らと巨樹との慈しみ合うような、ほんのりとした感覚が伝わってくる。

「大口株主」 撮影地:さいたま市

撮影者:又賀義信さん(さいたま市)

 実に面白い写真である。キノコの不思議なフォルムと色具合が目を惹きつける。こんなキノコがあるのかと思うが、撮影者の目の付け所もさることながら、「大きなキノコが2枚重なって口のように見えた。切り株に映えていたので『大口株主』と名付けた」というユーモアと、その感性に敬意を表したい。

「雪と桜の共演」 撮影地:東秩父村

撮影者:栗島祥次さん(東秩父村)

 サクラの花も満開になった東秩父村の施設「和紙の里」での一コマである。雪が降り始めたので、撮影者は施設全体が見下ろせる山の上に移動し撮影したという。その甲斐あって、めったに見ることのできないシーンをものにすることができた。淡いピンクのサクラに雪が降りかかる瞬間が美しい。

「月あかり」 撮影地:秩父市(二瀬ダム)

撮影者:清水守さん(秩父市)

 ちょっと目には、よく理解できない不思議な色味の写真である。タイトルを見て初めて月明かりで撮影した写真であることを知る。木々の緑や湖面が月明かりに照らされて、神秘的な色合いとなり、幻想の世界を形作っている。添景にボートを取り入れることで画面にメリハリがつき、奥行きが強調された。

「大樹を囲む」 撮影地:東松山市(正法寺)

撮影者:鈴木篤史さん(鴻巣市)

 大イチョウは絵になる存在である。特に、黄葉の時期ともなればなおさらである。黄色く色づいた大イチョウの根元に群がるように子ども達がまとわりついている。画面中央に大樹を配置し、子ども等の遊ぶ姿を添えることでスケール感を際立たせている。樹齢数百年を経た大イチョウにとって、子ども達の存在が嬉しいのか否かは知る由もないが・・・

「小さなお手伝い」 撮影地:所沢市

撮影者:斉藤重利さん(熊谷市)

 雑木林の落ち葉をかき集めて堆肥づくりをしようというボランティア活動での一コマある。活動中の母親の仕草をまねて、幼子が小さなクマデで落ち葉かきに挑戦しようという瞬間をうまく捉えた。足元がおぼつかないような様子で、落ち葉をかこうという様子が実に可愛らしく、微笑ましいタイトル通りの写真となっている。