WEB埼玉

2006年7月26日(水)

 

きずな深めた親子の夢
花咲徳栄―春日部東
高校野球埼玉大会

 

花咲徳栄 3―1 春日部東

 花咲徳栄は1―1の六回、一死二塁から佐々木の中前打で勝ち越し。先発高野が被安打4で完投した。春日部東はエース中野が10四死球と乱調だった。

力投及ばず敗れたエース中野(中央左)ら春日部東の選手たちが、花咲徳栄ナインに千羽鶴を渡し勝利を託した

 ●春日部東 「あいつの気持ちの強さにかけるしかない」。本調子ではないことを知りながら、中野春樹監督は二回途中から背番号1の息子、雄太をマウンドに送った。無死二、三塁のピンチを1点で切り抜けたが、制球が定まらない苦しいマウンド。六、七回はともに死球をきっかけに失点した。

 監督とエース。親子で甲子園という夢を追い続けた。入学当初の雄太は「うまく手を抜くところは抜く。いざという時の勝負強さは持っている」(春樹監督)というむらのある選手。練習試合で手を抜いた投球をする息子に「常に全力でないと100%の力を出し切れないぞ」と、雷を落としたこともあった。

 最後の夏のマウンド。監督の教えはしっかりと守られた。今春の県大会後、脇腹を傷め、満足に投球練習できない日々が続いた。その影響から制球が悪く与えた四死球は10。だが「走者が出ても攻め続けた。悔いのない投球ができた」と雄太。投げるたびに帽子がずれるほどの全力投球を最後まで貫いた。

 試合後、春樹監督は「いろんな意味で素直になった。選手としても人間としても成長した」と息子を褒めた。雄太は「監督に感謝している」と振り返った。白球を追った3年間。甲子園には届かなかったが、親子2人にはかけがえのない時間だった。

全員野球で一歩ずつ

花咲徳栄―春日部東 6回表花咲徳栄1死二塁、佐々木の中前打で二塁走者石塚がホームを突き、決勝点を挙げる。捕手会沢=県営大宮

 ○花咲徳栄 マウンド上で帽子を取り、打者に頭を垂れる春日部東の中野。その姿を脇目に、何度も打者が一塁へ向かった。

 途中登板の中野が乱調で5死球、四球も5。相手エースの制球難に乗じて効果的に加点。派手さはないが、その分、試合巧者ぶりが浮き立った。

 同点にされた直後の六回、石塚が死球を受けて出塁した。犠打で進塁すると佐々木の中前打で勝ち越しのホームイン。

 「ポイントは3点目」と岩井監督もうなった七回の追加点も、死球で出た成瀬をスクイズでソツなくかえした。

 死球から出塁したのは、いずれも左打者。「(中野は)左打者に抜ける球が多い」(成瀬)。それがチームの共通認識だった。

 主将の春日は「(中野が)荒れていたので、悪い球に手を出さないよう注意した」と明かす。成瀬は、「気持ちで行けばボールがもらえる」と3四死球を得た。

 「勝利に貢献できたので、痛さも吹き飛ぶデッドボール」と笑う成瀬。

 チームの特長を「突出した選手がなく、全員で攻める野球」と表現する岩井監督。制球ミスにつけ込む、ソツない野球でAシードを撃破。チームは再び接戦をものにし、さらにたくましくなった。

 
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