|
鷲宮 6―0 市浦和
鷲宮の増渕竜が無安打無得点を達成。1死球を与えたものの、15奪三振と付け入るすきを与えなかった。市浦和は増渕竜の直球の前に手も足も出なかった。
切り込み隊長4安打
○鷲宮 1番安田がバットでチームを引っ張った。一回には直球を狙い打ち、痛烈な右前打。4番川村の中前打で先制のホームを踏んだ。五回二死満塁の好機では「とにかく走者をかえすことだけを考えて振り抜いた」と、フルカウントから右中間を破る3点三塁打を放ち、試合を決定づけた。
3回戦は3安打、4回戦は2安打。この日は4安打4打点とバットがさらに振れてきた。エース増渕竜の影に隠れ気味だが、得点力ある打線もチームの強みだ。「(増渕)竜義を助けたいと、いつもみんなで言い合っている」と安田。エースを支える気持ちがバットに込められている。
昨夏は準々決勝で埼玉栄に敗戦。「あの悔しさは忘れていない。ここからが本番だと思っている」。2年生からレギュラーを務め、迎えた最後の夏。頼れる切り込み隊長は、汗に輝く顔を引き締めた。
高レベルに脱帽 相手校へエール
●市浦和 監督として第70回全国高校選手権で4強に進出した実績もある名将中村監督。無安打無得点のゲームを喫したのは、指導者として初めてだった。試合後、同監督は「手も足も出なかった。むしろ対戦できるだけで幸せな投手」と完敗にも潔かった。
4回戦は13安打、20得点を挙げ、コールド勝利。それが鷲宮の増渕竜に15三振を奪われ、二塁さえ踏めなかった。4番横山も3打席3三振。横山は「みんなで球に食らいつき1点を返そうとしたが、(増渕竜は)球速も制球力もレベルが違った」と脱帽した。
市浦和を率いて、20年目の夏。中村監督は「増渕君は公立高校の星。ぜひ甲子園を目指してほしい」とエールを送っていた。
夏の大会史上17人目の無安打無得点達成
増渕竜義投手(鷲宮3年)
怪物右腕がその真価を存分に発揮した。最後の打者に全球直球で挑み、3者連続三振であっさり偉業達成。派手なガッツポーズをすることなく、悠然とマウンドを駆け下りる姿には、余裕すら漂った。
 |
| 鷲宮―市浦和 夏の大会史上17人目のノーヒットノーランを達成した鷲宮のエース増渕竜=県営大宮 |
4回戦で20得点を挙げた市浦和打線を相手に、打者28人から15奪三振。外野への飛球はわずか一つ。完全試合にあと一人と迫る完ぺきな内容で、二回に出した1死球が何とももどかしかった。甲子園べスト4の経験もある市浦和の中村監督も「監督生活で初の無安打無得点。相手が上すぎた」と脱帽した。
序盤は飛ばした。先頭打者を直球で空振り三振に打ち取ると、快投劇が幕を開けた。打者の手元で伸びる直球と切れのいいスライダーで四回までに9奪三振。四回には最速147キロをマークした。6点をリードした五回からは打たせて取る省エネ投球。わずか109球で終わらせた。
初の快挙にも「記録よりも勝ったことがうれしい。無安打は五回ぐらいで気付いたけど、勝たないと次に進めないから、意識せずに勝利にこだわった」と浮かれた様子は全くない。
ベンチも同様だ。高野監督は「(増渕)竜義にとっては普通のことだし、三振とか無安打無得点の記録とかは関係ないと普段から言っている」と冷静そのもの。ナインも無安打の話題に触れることもなく、この1試合に集中していたという。
これでようやく、昨年の8強に並んだにすぎない。次の準々決勝は前回覇者の春日部共栄との大一番。「一番強いチームと対戦できるのがうれしい」。エースの顔が、この時ばかりは充実感でみなぎった。目の前の記録達成よりも大切なのは、一戦一戦全力で戦うこと。プロ注目の右腕がいよいよ、エンジン全開で優勝候補に挑む。
身長184センチ、体重75キロ。草加栄中出身。
|