WEB埼玉

2006年7月15日(土)

 

完全燃焼の夏に涙なし
浦和学院―和光
高校野球埼玉大会

 

浦和学院 3―2 和光

 浦和学院は七回に捕逸で追い付き、八回一死二塁から坂上が勝ち越し右前打を放った。和光は終盤に逆転されたが、遠藤の2ランと後藤の好投が光った。

和光―浦和学院 7回裏浦和学院2死一、三塁、捕逸の間に三塁走者阿部(右)がホームを陥れ同点。ベースカバーは投手後藤=県営大宮

 ●和光 「ウラガクが初戦で負けたことはあるのか」。そんな会話が次第に現実味を帯びていった。横綱を土俵際に追い込んでいるのは、部員たった29人の小さな無名チーム、和光だった。

 1年生から主力だった3年生は2年前の夏、5回戦で浦和学院に完敗した。続く秋季大会でもコールド負け。以来打倒ウラガクを胸に刻んできた。それだけに抽選会で対戦が決まった時、主将の塩田は「これは運命だ」と思ったそうだ。

 1点を追う四回、遠藤が右翼席中段に逆転2ランを突き刺した。相手だけでなく味方の度肝も抜いた特大アーチに本人も「ちょっと驚きました」。

 遠藤は心臓に疾患があり、過度な運動は止められていた。しかし来る日も来る日も居残りで300スイングをこなした。「1年の時、自分はまったく打てなかったので、いいバッターになって恩返ししたかった」。堂々のダイヤモンド一周に、陰の努力を知る塩田は「遠藤はいつも最後まで残って練習してたんです」と言葉を詰まらせる。

 そんな遠藤の一発を意気に感じた左腕エース後藤が「今度はおれが抑える番」と強力打線を終盤まで牛耳った。後藤も過去2度の対戦で打ち込まれている。「3年間のすべてをぶつけた」と、真っ向勝負で成長の証しを左腕に込めた。

 勝者にはなれなかった。でも「全力を出し切った。モヤモヤはないです」と後藤。完全燃焼したナインに涙はなかった。

一番怖い初戦 薄氷の勝利

 〇浦和学院 2年ぶりの王座奪還を目指す初戦は薄氷の勝利だった。「初戦が一番怖い。負けたら先がない。勝てて良かった」と森監督。このコメントだけでも、いかに紙一重の勝負だったかが分かる。

 二回に鮫島、安藤の連打で1点を先制したが、四回に先発西村が逆転2ランを浴びた。序盤のこの時点ではいつでも取り返すと高をくくったか、打線は淡泊な攻撃で三回から六回まで三者凡退を繰り返した。

 「負けたら終わりという重圧はあった。やってきたことをやるだけだった」と市川。ようやく打線に粘りが出てきた七回にバッテリーミスで同点とすると、八回に坂上のタイムリーで何とか逆転に成功した。

 森監督は「焦りがなかったと言えばうそになる。相手の術中にはまっていた」としながらも、「いい収穫にはなった」と苦しい試合をものにしたことを前向きにとらえていた。

 
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