WEB埼玉

2006年7月14日(金)

 

大逆転生む集中力
川口青陵―狭山清陵
高校野球埼玉大会

 

川口青陵 9―7 狭山清陵

 川口青陵は九回、犠飛を挟む9連打などで8得点し、6点差を逆転した。狭山清陵は七回のコールド好機を生かせず、継投した大谷が九回につかまった。

川口青陵―狭山清陵 9回表川口青陵1死満塁、豊山の逆転の右翼線二塁打で生還し、抱き合って喜ぶ(左から)軽込、岡田、鈴木=上尾市民

 ○川口青陵 勝負は下駄を履くまで分からない。言い古された格言がある。川口青陵が土壇場九回、それを実行してみせた。八回を終わって1―7。この日の試合の流れからして、普通ならこれで終わり。しかし、川口青陵の粘りは半端ではなかった。九回、犠飛を挟む9連打とスクイズで一挙8点を挙げ、まさかまさかの大逆転。

 遠山監督は興奮を隠さなかった。「力は相手の方が上。打撃には自信を持っていたが、選手たちがここまでやってくれるとは思わなかった」とナインの潜在能力に驚くばかり。

 “奇跡”は5番豊山から始まった。先頭で中前打を放つと、1番柴の右犠飛を挟んで怒涛(どとう)の9連打。クライマックスは1点差に詰め寄り、迎えた一死満塁の場面。打席に立ったのは突破口を開いた豊山。この回2度目の打席に「悔いだけは残したくなかった」と、初球をたたくと、打球は右翼線をとらえ、2者が生還。この試合初めて得点が相手を上回った。

 エース鈴木は七回までに7失点。それでも「1度もあきらめなかった。仲間が打ってくれると信じていた」とコールド成立のあと1点は死守。「実力以上。奇跡に近いですね」と満面の笑みを浮かべた。

 1985年の第67回大会5回戦で秀明が城西大川越を相手に1―7の九回、7点を奪って奇跡的なサヨナラ勝ちをしたが、それを上回る8得点に、高野連関係者も「土壇場であれだけ得点するとは」と舌を巻く、ミラクルぶりだ。

 集中力の源はなにか。チームは昨年からメンタルトレーニングを導入。呼吸法や打席に向かう一連の動作で平常心を保っているという。「集中力に欠かせないのは糖分。試合中もチョコレートを口にしていた」。歓喜の輪の中で、荒明主将が“ミラクルぶり”の意外な秘けつを少しだけ教えてくれた。

これが野球

 ●狭山清陵 あと一回。しかし、九回に連打を浴びて8点を失い、6点差をひっくり返された。

 一回に三点を先制し、追加点を重ねて有利に試合を進めた。七回にはコールドの好機も迎える楽勝ムードだった。しかし、傾いた流れが戻ることはなかった。

 九回から登板し、連打を浴びた大谷。球場の外で泣き崩れる大谷の肩にコーチが手をあて、「これが野球だ」と、声を掛けた。

 
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