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第88回全国高校野球選手権埼玉大会は12日、県営大宮球場で開会式が行われ、18日間の熱戦が開幕した。
全員野球で21得点
不動岡
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| 三郷―不動岡 2回裏不動岡1死一、二塁、岡本が右中間にランニング3ランを放つ。捕手八木 |
創部103年目で初めて巡ってきた開幕ゲームで、不動岡が21点を奪い圧勝した。
開幕戦を15人の3年生全員で迎えることが大事だった。試合前、富永監督は「3年生全員が試合に出られるような展開の試合にしよう」とナインを鼓舞。3年生は3年間、校舎改築のために野球部のグラウンドがなく、まともな練習ができずに苦労した。そのハンディキャップを乗り越えて臨む最後の夏に、一緒に頑張ってきた3年生全員を出場させたいとの気持ちからだった。
監督のゲキにナインも燃えた。一回、先発池田が三者凡退でリズムをつくるとその裏、3番木下が先制の二塁打で流れを呼び込む。木下は「みんながつないでくれた好機。最後の夏は初戦の入り方が大事だし、全員で制してこそ次につながる」と胸を張った。
全校応援に後押しされ、12安打で毎回の21得点。守備は無失策で池田―関根の投手陣を支えた。控えの3年生も全員出場。代打で出場した主将の高野は「つないで点を取るのが自分たちの野球。きょうの勝利は一人一人がやるべきことをやった結果」と満足そうだ。
新グラウンドは来年4月に完成する。だが、どんなに条件が悪くても不動岡の野球は健在だった。伝統校に勝利をもたらしたのは、3年生全員の気持ちが一つになったからだった。
9人が感謝の全力疾走
三郷
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| ベンチに飾った背番号1のユニホームの前で、須合監督(中央)を中心に円陣を組む三郷の選手たち |
9人だけの選手がグラウンドに飛び出すと、ベンチには監督とスコアラーだけしかいなくなる。閑散としたダッグアウトから、壁に飾られた背番号1のユニホームと、「感謝」の文字がデザインされた千羽鶴がよく見えた。
「県営大宮で開幕試合をできたことがうれしかった。うまいとか下手とか関係なく、純粋に野球が楽しかった。何よりあいつのためにも、最後まで笑顔でやりたかった」
三郷の主将、篠田が言った「あいつ」とは、背番号1の持ち主である小島のこと。それは組み合わせ抽選会翌日の6月21日、突然の退学だった。家庭の事情で高校生活を途中で断念せざるを得なくなってしまったのだ。
「言葉にならないくらいのショック」(篠田)がナインを襲った。部員は1、2年生だけの10人。1人いなくなれば9人ギリギリ。それもエースが突然…。
しかも残る9人でさえ、野球を続けることが厳しい環境にある選手が多いという。
「うちのマネジャーは日本一」と須合監督が言う彼女たちの日課は、練習前にご飯を炊き、選手に食べさせてスタミナをつけさすことだったという。
「感謝」の千羽鶴は、そのマネジャーが徹夜で作ったものだ。「たくさんの応援がうれしかった。大変なのに野球をやらせてくれる親、監督、仲間に感謝しないと」と言ったのは、投手を含め2度ポジションが代わった杉本。9人の中にはキャッチボールもままならない初心者も。エースの穴を埋めるのは一苦労だった。
「苦しくても試合中に下を向かないように練習してきた。勝負だけじゃない。その試合、試合で課題をクリアできればいいんです」。結果は大敗だったが、須合監督はさっぱりしていた。
なぜなら、9人のユニホームはみんな真っ黒で、全員が最後まで笑顔と掛け声を消すことなく、全力疾走を貫いたから。
「あいつ、多分見に来てくれているみたい」と篠田。そんな夏。忘れられない夏。だから高校野球。
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