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この夏 注目の8人
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完全無欠のエースへ |
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埼玉栄 木村文和投手 |
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木村にとってあの試合は一日でも早く消し去りたい苦い思い出なのか。それとも自分を成長させるための大きな糧にしているのか。 あの試合とは春日部共栄と争った昨年の決勝。3点リードで迎えた九回、あとストライク一つで甲子園だったが、土壇場で4失点し逆転負けした。外野の応援席にあいさつに行った後、そのまま芝生の上にうずくまった姿は、悲劇のヒーローとして、強烈な印象を残した。 「肉体的にきていた」。そう振り返る。八回まで137球とまずまずの球数だったが、逆転された九回は相手の粘りに苦しみ、実に47球を投じていた。二死満塁から岡(現日体大)に走者一掃の同点三塁打を打たれた時は限界を超えていた。1大会を投げ切るスタミナ。これが取り組むべき大きなテーマとなった。 そしてスライダー。「木村のスライダーは見えない」。対戦した打者はそろって口にする。しかし、あの日の決勝はその伝家の宝刀を痛打された。「だからスライダーをもう1種類増やしました」。高速スライダーに加えて、縦に大きく曲がるスライダーだ。 この1年で速球は最速146キロに伸びた。そして無尽蔵のスタミナを身につけ、完全無欠のエースへと成長した。「あの経験をプラスにしたい」と悔しさをバネに日々励んできた成果がここにある。 主将でエース、そして4番。今どき珍しいワンマンチームだ。しかしそれは木村が傑出した存在であることの証明でもある。「自分がチームを引っ張って、甲子園へ連れていく」。力強い言葉には確かな説得力があった。 (2006年7月9日付掲載) |
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