WEB埼玉

2005年7月28日(木)
 

埼玉栄 木村、投打で躍動
埼玉栄8-0鷲宮

 

全打席に出塁
「球が見えた」

 ○埼玉栄 2番の吉川がチャンスメーカーの役割を果たした。4度の打席すべてで出塁し、2安打1打点3得点。「コンパクトな振りをすれば結果はついて来ると思った」と、気持ち良さそうに汗をぬぐった。

 一死で迎えた第1打席は、遊撃へ内野安打。吉川は「球が見えていた」と、鷲宮の好投手・増渕竜の直球を狙い打ち。先制のホームを踏み、一回の3点を導いた。二回は外角の甘い直球を痛烈なライナーで右中間を破る三塁打。「あそこにヒットが出るのが調子のバロメーター。状態が上がってきた」と頼もしい。

 準決勝は秋季県大会の決勝で8―15と大敗した浦和学院に再挑戦する。吉川は「必ずリベンジします」と力強く誓っていた。エースに威圧感力の差を感じた

 ●鷲宮 埼玉栄のエース木村の伸びのある直球とブレーキの利いた変化球に翻弄(ほんろう)された。11個の三振を喫し高野監督は「相手投手がいいのは分かっていたが、力の差を感じた」と潔かった。

 木村対策として、145キロ近い速球をマシンで打ち込んできた。先頭打者として一回、外寄りの直球を中前にはじき返した室田は「直球に対応できても切れのあるスライダーに手を焼いた。きょうの木村は威圧感があった」と脱帽した。

 三、六回の打席は、いずれも前の2人が三振に倒れた後の二死からで、自身も三振に抑えられた室田。それでも「試合では圧倒されたが、木村の球には向かっていけた」と胸を張った。

プライド胸に「負けない」

埼玉栄−鷲宮 3安打零封し笑顔の埼玉栄・木村(右)と捕手山本=市営大宮

11奪三振で七回無失点。
打っては3安打2打点
木村文和投手(埼玉栄2年)

 「絶対に負けられない」。

 全身に闘志がみなぎった。躍動感あふれるフォームから得意のスライダーを外角いっぱいに投げ込むと、打者のバットが次々と空を切った。

 一回には二死一、二塁から自ら中前に先制タイムリーを放つ。「この1点を守り切る」と気迫が投球に乗り移る。味方打線の援護で点差が開いても気持ちは最後まで切れなかった。

 七回に二死満塁のピンチを招いた。「0―0の気持ちで投げていた。スライダーがワンバウンドしても、必ず止めてくれる」と三塁に走者を置いても、捕手の山本を信じて腕を振り切った。山本は「あいつが一番この3連戦に懸ける気持ちが強い。木村が投げやすいようにリズムよく、テンポよく投げさせた」と絶大な信頼を寄せる。

 エースにはこの試合で負けられない理由があった。準々決勝への特別な思い。「相手は2年生で鷲宮のエース番号を着けている増渕竜。自分も2年生で背番号1を託されている。絶対負けたくなかった」。今夏から着けているエースナンバーへのプライドが自分を奮い立たせた。

 試合終了後、増渕竜と一言だけ約束を交わした。

 「浦学を倒してくれ」と励まされると、「任せておけ」と力強く応えた。

 ここまで4試合に登板。23回を投げて1失点。今大会を代表する投手との投げ合いに勝ち、新たな思いをその右肩に背負った。

 身長180センチ、体重75キロ。東京大田馬込中出身。

「流れ変えたかった…」
最後まで相手ペースに

埼玉栄−鷲宮 1回表鷲宮1死一、二塁、樋口の二ゴロで一塁走者安田が併殺に倒れる。(左から)一塁手谷口、遊撃手平川=市営大宮

 鷲宮は六回まで1安打しか打てず、攻撃の糸口を見いだせなかった。特に二回から六回は3人で抑えられ、走者を出すこともできない展開に、高野監督は「すべてにおいて力の差が出た。先取点を取れば何とかなると思ったんだが」。埼玉栄の木村の立ち上がりを攻め切れなかったことが、最後まで重くのしかかる結果となってしまった。

 増渕竜も相手のペースにはまっていった。「最初から飛ばすつもりだったのに直球を狙われた。点を取られても、次の点を与えてはいけなかった」。一回、三つの四死球と3安打で3点を失うと、三回までに6失点。相手の勢いは増していった。

 初戦以外は1人でマウンドを守ってきたが、山口捕手は「連投が続いていたが、相手打線もしっかり打ち返してきた」と振り返る。増渕竜も「自分の力がなくて打たれた。それだけです」と、自身のふがいなさを責めた。

 四回から、高野監督は「気持ちで投げるタイプ」と信頼する主将の樋口をマウンドへ。期待に応え、四、五回を無失点に抑えるが、味方打線は沈黙のまま。「何とか流れを変えたかったのに」と樋口の言葉が悔しさを物語っていた。

 
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