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久喜北陽 6―5 浦和実
戦評…九回に3安打で2点を挙げた久喜北陽が、逆転サヨナラ勝ちした。
4―5の最終回、久喜北陽は二死一塁から栗原の左越え二塁打で同点。続く代打の浅倉が右中間へ適時打を放ち決勝点を挙げた。三回に川崎の中前打で先制すると、五回には打者9人で3点を追加。いったん逆転を許した九回を除けば、終始主導権を握った。
浦和実は七回に2点を返し、九回に長短3連打などで3得点して逆転。だが、何度も好機をつぶし、14残塁したのが痛かった。
「うれしくて泣きそう」
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| 浦和実―久喜北陽 サヨナラ勝ちを決め、大喜びする久喜北陽の選手たち。中央はサヨナラのホームを踏んだ栗原=市営大宮 |
○久喜北陽 2時間55分の熱戦に決着をつけたのは、代打浅倉のひと振りだった。
九回二死三塁、カウント0―2からスライダーを右中間に運び、サヨナラ勝ちを演出。
仲間から次々と手荒い祝福を受け、「走りながら打球が小さくなっていくのを見て、うれしくて泣きそうでした」と顔をくしゃくしゃにした。
2年生ながら、代打の切り札だ。春日部東との3回戦では2点を追う一死満塁の好機に起用された。1点差に追い付くタイムリー中前打を放ち、逆転劇の足掛かりを築いており、赤坂監督の信頼も厚い。
今大会3度目となる打席は一打サヨナラの大事な場面。緊張は最高潮に達したが、「ランナーをかえすことだけ考えた」と浅倉。中途半端な気持ちを捨て、無心で振ったのが好結果に結び付いた。「このチームでまだまだ試合をやりたい」と今後に意欲を示した。
本当にうれしい
次も盛り上げる
○久喜北陽 2試合ぶりに背番号1が戻ってきた。春日部東との3回戦で右腕を疲労骨折したエース溝口がベンチ入りした。
現在、神奈川県川崎市内の病院に入院中。この日は主治医の外泊許可を得てベンチに入った。
手術は免れたが、右腕は石こうのギプスでがっちり固められている。
できることは少ないものの、「入院中にみんなが見舞いに来てくれた。今度は僕が支える番」と他のメンバーに声を掛け続けた。
仲間も「やっと20人そろったし、負けられなかった」(捕手川崎)と奮起。サヨナラ勝ちで過去最高の8強入りを果たした。溝口は「本当にうれしい。チーム一丸となって戦ってくれた。次の試合も僕が盛り上げたい」と大喜びだった。
ナイン一丸、喜び爆発
故障のエースがベンチに復帰
二塁走者の栗原が生還すると、ベンチを一斉に飛び出した選手は誰彼となく抱き合い、殊勲打の浅倉を祝福した。久喜北陽が九回二死から逆転サヨナラ勝ちで初の8強。
「絆(きずな)を体現してくれた」。赤坂監督の大きな瞳からは、今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
2点リードの九回表。4―4に追い付かれると、一死二、三塁から2番手・岩崎の敬遠しようとした投球が暴投となり、勝ち越された。「逆転してやるぞ」。肩を落とす仲間を励まし、自身を奮い立たせる。そんな言葉がベンチのあちこちから響いた。
その裏、4番の川崎が三振に倒れ二死一塁。打席に向かう栗原にベンチから声が届いた。「おれたちがついてるぞ」。2年生は「先輩の後押しで集中できた」。
初球の甘いスライダーを振り抜き、同点の二塁打。代打の2年生・浅倉もカウント0―2からスライダーをミートし、右中間を真っ二つ。ヒーローは「(エースの)溝口さんに笑顔で励まされ、自分のスイングができた」と感謝する。
3回戦で溝口が右上腕部を疲労骨折。入院する病院から外出許可をもらい、2試合ぶりにベンチに帰ってきた。赤坂監督は「目立つ選手はいないが、溝口の故障で結束力がさらに高まった」と頼もしそうだ。
準々決勝は王者の浦和学院に挑戦する。主将の金子祐は「恐れずに僕たちの野球をするだけ」と力こぶを入れる。相手も同じ高校生。一致団結すれば、何が起きても不思議はない。
スライダーが高めに…
悔しい最後の一球
九回に逆転した浦和実だが、1点リードを守り切れずにサヨナラ負け。代打浅倉に決勝打を許した小柳は「スライダーが真ん中高めに入ってしまった」と最後の一球に涙した。
5―4の九回、一死一塁で迎えた4番川崎を気迫で見逃し三振に仕留めた直後から始まった悪夢。「4、5番は意識した。でも投球テンポを考えていたら甘くなった」と小柳。
5番栗原の打球は左越え二塁打。一塁走者が一気に生還し追い付かれると、勝ち運は相手に転がった。
チームには負けられない理由があった。二回まで好投していた佐藤琢が、三回直前の投球練習で突然、右手中指の関節が緩むアクシデント。
辻川監督も「今日は任せるつもりだった」という先発2年生の降板で、予想以上に早い継投を迫られた。急きょ登板した菅沢を相手打線も見逃さなかった。三回に先制点を許すと、五回には押し出し四球などで3失点。菅沢は「ピンチで抑えられなくて悔しい」と責任を背負い込んだ。
手中からこぼれた勝利に、佐藤琢は「責任は果たせなかったが、3年生に『絶対勝ってやる』と言われ、心強かった。追い付いてくれた時はうれしかったのに」とうつむくままだった。
同点打の活躍も主砲、惜敗に涙
●浦和実 試合後、号泣した主砲岡田。4安打を放ち、九回無死二塁から同点に追いつく、強烈な左翼線二塁打を放った。二塁上で拳を突き上げた岡田は「無心で打った」とだけ言い、言葉が続かなかった。
久喜北陽の松本に対し、ビデオで研究して臨んだ。「(松本の)威力のある直球は振り負けず、変化球は逆らわない」という解答を導き出していた。4安打のうち、3本をセンターから右方向に逆らわず運んだ。
今大会は不調にあえいだ。それでも、九回に1点差に迫る二塁打を放った3番の生貝は「岡田につなげば、なんとかしてくれる」と仲間の信頼は厚かった。4番の重圧から解放された主砲は「悔しいだけです」と泣き続けていた。
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