| 戦評…浦和学院が粘って逆転勝ち。七回に敵失に付け込んで、一死三塁から古市の左前打で勝ち越した。坂戸西は終盤の好機にあと一本が出なかった。
ナイン信じ「最高のゲーム」
1点を追う九回二死一、三塁。一打同点のチャンス。坂本の放った鋭いライナーは二塁手渡部のグラブに吸い込まれ、ゲームセット。坂戸西の3年越しのリベンジは成就しなかった。
第84回大会決勝の再現となった好カード。当時はシード校同士の対戦だったが、今回の坂戸西はノーシード。だが、今季、県内無敗の浦和学院相手に一歩も引き下がらなかった。
一回に3点を先制。先発丸山が打線から勇気と勢いを受け継ぐ。「正直、浦和学院打線は1番から9番まで怖かったが、初回に3点を取ってくれた。落ち着いていけってみんなに言われて、すごく楽になれた」。スライダーとカーブを要所に配し、緩急を使った投球で強打の浦和学院打線に的を絞らせない。
二回に2点を失い、七回に勝ち越されても、気持ちは切れなかった。丸山が「みんなを信じて、気力で投げていた」と振り返れば、主将の岡崎も「最後のワンアウトまであきらめずにいこう」とチームを鼓舞。終了まで粘り強く戦った。
試合後のダッグアウトで、すすり泣く選手たちの声が途絶えることはなかった。浦和学院を上回る10安打を放つも終盤の好機を生かせず惜敗。それでも、岡崎からは「一番楽しめた試合だった。最後に浦和学院とできてよかった」とすがすがしい声が返ってきた。
敗れはしたが、優勝候補を最後まで慌てさせた。熊沢監督は「きょうはこのチームで最高のゲーム。精神的な成長があった」と満足のいく表情で語った。ナインの3年間の汗と涙が結実した試合だった。
辛勝に夏の厳しさ知る
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| 浦和学院―坂戸西 7回裏浦和学院1死三塁、古市が決勝タイムリーを放つ=県営大宮 |
○浦和学院 九回二死一、三塁の一打同点のピンチ。坂戸西・坂本のライナー性の打球は鋭く、場内は「おおっ」とどよめいた。しかしコースに入っていた二塁手・渡部ががっちり好捕。ナインに安堵(あんど)の表情が広がった。
最後までヒヤリとさせられた横綱の辛勝だった。
一回、先発の藤倉が思わぬ3失点。流れは坂戸西に傾いた。左腕丸山の緩急を織り交ぜた投球に、各打者は的を絞り切れない。
それでも焦りはなかった。二回から登板した村尾が「仲間が取り返してくれると信じて投げた」と追加点を与えない。その間、打線はタイムリーこそないがしぶとく追い付き、七回一死三塁から古市が「スライダーを引っ掛けたけど、抜けてくれた」と三遊間へ勝ち越し打を放った。
2時間42分の好試合を制した森監督は「選手は粘り強く戦った。冷や汗はかいたけど、収穫のあるいい試合だった」とにこり。それでも「どこもうちに照準を合わせてくる。その中で勝ち進んでいくのは簡単じゃない」とあらためて夏の厳しさを知った王者だった。
最後の打席に成長した証し
●坂戸西 6番松田が4打数4安打の大当たり。「結果的に自分が打っても勝てないと意味がない」と歯を食いしばった。
七回に三塁ゴロを悪送球して同点のきっかけをつくってしまった。だが、汚名返上とばかりに、九回に先頭打者としてこの日4本目の安打を放った。高校野球生活最後の打席。「投手が頑張っていたし、自分のエラーから始まったので、食らい付いて打ち返してやろうと思った」と意地を見せた。
今までは練習試合などでミスした後に沈む癖があった。だが、「最後の大会だったから、打って返せればいいんじゃないか」と自分に言い聞かせて、右前に鋭い打球をはじき返した。1本の安打で過去の自分から大きく成長した。
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