彩夏の主役たち

【1】 病乗り越え才能開花
 陸上男子400メートル障害 古賀友矩

 

日本一の夢に向かって練習に励む古賀友矩

 今夏が最初で最後の高校総体。熊谷富士見中出のハードラーは、「優勝の自信はあります」と前を見据えた。

 高校入学時は「甲子園」を目指していた。中学3年間は鴻巣にある硬式野球クラブチームで遊撃手として活躍。部活動で陸上部に所属したが、「夢はプロ野球選手」。春日部共栄を選んだのも夢のためだった。

 だが、入学して間もなく甲状腺の病気が発覚。療養生活を余儀なくされた。体育の授業も禁止、もちろん野球も。「目標がなくなり、得意な運動もできず将来が不安になった」。家に帰ってもすることがなく、高校に通う意味も見失いかけた。

 秋を過ぎたころ、病状は落ち着いたが野球部には復帰せず、「チーム競技は迷惑を掛ける」と陸上部に入部。三月の記録会に出たことで目標が生まれた。「やるからには日本一、そして世界一」。体調と相談しながら少しずつ研さんを積み、2年生五月の学校総体には110メートル障害で出場、準決勝まで進出した。

 だが、「110メートル障害では、翌年の高校総体でも優勝できない」と痛感する。同種目は県内だけでも同学年に全国トップクラスの大室秀樹(松山)がいるなど層が厚い。潔く400メートル障害に転向した。これが才能を開花させる転機となり、九月の新人大会で優勝。十月の関東選抜大会も制して、身体能力の高さを見せつけた。

 病気は今も完全には癒えていない。薬を飲み、2カ月に1度の検診を受ける。そんな中、今季は徹底的に基本を反復した。基本に忠実に跳べるかどうかが後半の勝負に大きく影響する。ハードル間の歩数も15歩から、より速く走るため13歩に挑戦中だ。「本当は前半からいくタイプ。400メートルを走り切ろうと今までは無理やり遅くしていた。高校総体ではリミッターを外したい」と勇ましい。

 一度はあきらめた夏。再び希望が芽生えた新たな夏に「圧勝します」。

(2008.07.12付掲載)

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