|
彩夏の軌跡 埼玉高校総体を終えて
|
||
|
【中】一人一役活動 裏方でも活躍光る |
||
|
「初めて会場に来る人がたくさんいる。聞かれたことに答えるのは難しいけど、伝わった時はうれしい」と帽子の下から笑顔をのぞかせたのは、水泳会場の川口市青木町公園プールで送迎バスの誘導に当たった伊奈学園の上木榛奈さん(二年)。炎天下を元気に駆け回る姿は、到着したばかりの来場者に埼玉の若さ、活力を印象付けた。 七十万人に上る全国からの来場者を、競技の主役と同じ高校生が迎えようと銘打った一人一役活動。受付や会場案内、駐車場の誘導などに従事するTシャツ姿の高校生は、競技開始前の午前七時ごろから夕方まで会場を駆け巡り、存在感を大いに示した。 悩み、試行錯誤もあった。会場案内を務める川口青陵高一年の岡田瑛二君は「日ごとに仕事が分かり、苦しくなくなった」と振り返り、遠藤渉平君は「地図を卓上に置き、説明しやすくした」と改善した点を教えてくれた。「育ってると実感した」と見守る神正人教諭が話した。 大半の高校生が学んだのは“人との接し方”。受付を担当した川口東高の佐藤知美さん(三年)は「目上の人とたくさん話したので、今後役に立つかな」とほほ笑み、「全国の人と触れ合え、学校ではできない体験ができた」と充実感いっぱいだ。武南高の内藤亜実さん(三年)は「一致団結してみんなでやるのが楽しい」と、高校生がつくり上げる大会の魅力を強調した。 疑問も生まれた。式典補助として、選手を先導するプラカード持ちや賞状作成を担当した武南高三年の山下茜さんは「もっと話し合ってもよかった。『当日まで分からない』と言われる仕事も多かった」。高校生が一日百人以上配置された会場も多く、役割分担がはっきりしないなど仕事の効率性に課題も残った。来場者を迎えるため、“競技は見ない”の基本理念は分かるが、「競技を見られなかった」「仕事の合間に何とか見た」と、残念そうに打ち明ける高校生が何と多かったことか。高校生から大人には切り出しづらい。仕事の見通しや明確な時間配分など、観戦時間の確保に大人の側がもっと配慮すべきだった。 高校総体だからこそ、同世代のトップレベルのプレーを見ることが計り知れない活力になる。会場出入り口で名札チェックを務める狭山ケ丘高一年の高橋慧、鹿倉朋依、中村千賀子、大久保愛海、大久保穂波さんは水泳部。「出場選手はオーラが違う。少しでも近づけるよう、みんなで頑張ろうって決めたんです」と顔を見合わせる仕草が、大会に触れる意味を物語っていた。 応援席の大声援はなくても、裏方で十二分に力を発揮した生徒たち。埼玉総体の主役は、競技も運営も、間違いなく高校生だった。 (2008.08.23付掲載) |
||
|
ニュースの詳細は埼玉新聞でどうぞ。 |