やってくる高校総体
▽1 生徒と成長、世界へ

日本バレーボール協会強化事業本部長 萩原秀雄さん

五輪に挑む元「鬼監督」

「生徒と一緒に厳しい道を歩いたから、人生真っすぐに生きてこられた」と語る萩原秀雄さん

 

 六月七日、バレーボールの北京五輪男子世界最終予選で、日本はアルゼンチンとの大接戦を3―2で制した。一九九二年のバルセロナ五輪以来、4大会ぶりの出場が決定。重い扉をこじ開けた陰の功労者は、日本協会強化事業本部長の萩原秀雄さん。二〇〇四年十一月、男子強化委員長に就任すると、強化のトップとして男子復活に取り組んできた。「この四年間は苦しかった。バレーに生涯を懸けてきた総決算だったから」。かつて「鬼」と恐れられた元名物監督の顔がほころぶ。

 保健体育科教諭を三十九年間務め、川越高と坂戸西高で男子バレーボール部の監督や総監督などで活躍。だが、プレミアリーグや大学チームの関係者以外で要職を任されるのは、極めて異例だ。

 「インターハイに出るのが夢だった。自分が選手時代にできなかったことを、やってくれれば。生徒に喜びを味わってもらいたい」。一日五時間を超える練習は当たり前。時には日付が変わるまで鍛え抜いた。一九七六年、川越高で全国高校選抜優勝大会に初出場。坂戸西高に転じた後の一九八七年、ついに高校総体の初切符を獲得した。

 茂木進一監督が率いた深谷高と、長くライバル関係だった。身体能力に優れた大型選手を数多く擁した深谷高に対し、坂戸西高はほとんどが県西部地域の普通の選手たち。「大きな者を倒すには、工夫しなければいけない。同じことをやって勝とうと思うのは間違ってますね」。世界に挑戦する日本と重なる。

 「これまで出会った生徒たちが、自分を育ててくれた」。高校スポーツと、その集大成に位置する高校総体は、指導者も成長させる。「苦しい経験を積みながら、いざというときに自分の中に助けてくれるものをつくらないと。神様は自分の心なのかもしれない」。埼玉で高校生たちの祭典が展開されるころ、北京で一世一代の勝負に挑む。

(2008.07.02付掲載)

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