2017年1月20日(金)

<底力サイタマ>世界初、生インク式2色マーカー発売へ/Vスパーク

「ツインクル★スター」の2色マーカー(右)と2色ペン(左)を手にする川崎正幸社長=16日午後、さいたま市中央区
2色マーカーと2色ペンが2本セットになった、筆箱タイプも8月に発売予定

 文具などを企画・開発するVスパーク(埼玉県さいたま市中央区)は、世界で初めて直液式(生インク式)の2色マーカーと2色ペンの「Twinkle Star(ツインクル★スター)」を完成させ、3月から販売する。

 社員は川崎正幸社長(64)ただ1人。企画・開発を全て1人で行った。「2色マーカーは20年以上前から挑戦したいと思っていたもの。他社がやれないものを自分がやるという執念だけで作りあげた」と、20年越しの夢をかなえる究極のペンを世界に発信する。

 川崎社長は大学卒業後、文具メーカー大手ぺんてるで25年間、筆記具の研究と開発に携わった。退社後、ベンチャー企業での医療器具開発を経て、14年前に独立。インクジェットプリンターのカートリッジ開発などの技術顧問をしていたが、長年構想を温めていた直液式の2色マーカーの開発に、6年前に本格着手した。

 構想のきっかけになったのは、ぺんてる時代、学校の教師や塾の講師たちが、丸をつける赤ペンと、コメントを記す黒ペンの2本を片方の手の指に挟んで何百枚もの答案用紙の採点をしているという話を聞いたこと。

 「1本のペンで2色を使えれば効率がいいし、学生がよく使う蛍光マーカーも、持ち替えることなく1本で素早くカラーリングできれば、勉強の能率も上がる」と考えた。

 現在、ペン本体にインクを含ませた中綿を内蔵し、ペン先に接触させる「中綿式」の2色マーカーはあるが、インクを最後まで使い切ることができず、内部の毛細管力が弱まると書きづらく疲れやすい。

 一方、インクの残量が分かり、最後まで使い切れる「直液式」には、インクの流れをコントロールするインク・レギュレーター(インク吐出制御部品)が必要だが、これは1色ペンでも難しい技術。

 「2色となるとなおさらで、大手メーカーは開発を諦めていた。でも、諦めたら進化はない。ペアマーカーの市場は確実にあるし、大手がやらないなら、意地でも自分がやる」

 川崎社長はたった1人でレギュレーターの開発に挑み、図面と向き合った。試行錯誤の末、インクが混色せず、別々のペン先に流れるよう、二つのレギュレーターを一体にする構造を開発。さらに、温度や圧力変化によって、インクがペン軸とタンクとの間を行き来することで漏れない機能を持たせた。

 複雑なレギュレーターの金型を作り出せるかという難関もあったが、プラスチック金型製作のアステック(川口市、杉田治美社長)が採算度外視で、川崎社長の情熱に応えた。「精巧な金型は匠(たくみ)の技。日本の技術の結晶が、この商品を生み出したともいえる」と川崎社長。

 昨年末には日本と中国で特許を取得し、米国と欧州にも出願中だ。

 「スムーズな色分けの機能は考えを整理してくれ、思わぬアイデアが生まれたりする。書くことは思考に直結。ペンがそれを押してくれる感覚がいい。スマホ時代に隠れてしまったペンの魅力や機能を知ってほしい」。

 学校の教師や講師、学生、企業の事務関連などでも需要があると見込み、販路を拡大していく考えだ。

 「ツインクル…」の赤と黒の2色ペン(「採点2色ペン」)は3月に、黄色とピンクの2色マーカー(「速攻チェッカー」)は8月にそれぞれ発売予定。価格は400円(税抜き)。問い合わせは同社(電話048・851・5575)へ。

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