2019年10月16日(水)

<スポーツのまちづくり6>発展へ本質的議論を スポーツ発展を妨げている3つの弊害

池田純氏

 先月初めのクリテリウム推進委員会での私の提言が、内側にちょっとした波風を立てた。大会の現状に対する認識と課題をまとめたものだが、その中で▽スポンサー収入は上限を迎えている▽今年は既定の事項が多いため自分は静観する▽来年は抜本的な変化が必要▽さいたまスポーツコミッション(SSC)は民間人材の登用を進めるべき―などと述べたことが、一部で物議を醸したようだ。

 日本は、プロスポーツの世界でさえプロの経営者がいないと言われている。

 第1の原因は親会社主義。経営陣は親会社から来て、ファンや地元より東京にある本社の方を見て経営に当たる。しかも数年後に人事異動で替わってしまうからプロパーの職員は誰に(意見や要望を)言えばいいか分からない。

 裏を返せば実力主義ではない。例えばフランスはすごい実力社会であり、経営トップには若い人が多い。私はこの夏、ツール・ド・フランスを視察したが、大会を運営するASO(アモリ・スポル・オルガニザシオン)の会長は私と同年齢くらい、他の責任者は全て年下だった。

 第2は、しがらみが多いこと。日本のスポーツの世界はムラ社会で、行政、会社、業者など様々な関係にとらわれている。しがらみにまみれていては本当の改革につながる判断はできない。

 私が初代社長を務めたベイスターズがなぜうまくいったかと言えば、しがらみがなかったから。球界や地元などにおかしな配慮をせずに済み、球団の経営に最優先に向き合って最良の選択肢を選べた。

 第3は、全てあいまいで済まされること。ラグビーワールドカップ(W杯)でチケットがどのくらい売れたかよく分からないし、どれだけ売れれば日本ラグビーの発展につながるかという議論がない。大切なのはW杯を機に日本ラグビーの景色が変わること。2015年大会で南アフリカに勝って盛り上がったのに結局、元に戻ってしまった。

 三つの弊害がスポーツの発展を妨げている。行政から誕生したSSCもしがらみ、あいまい体質を抱えている。本質的な課題をはっきり指摘できないこと自体が課題だ。

 クリテリウム単体ではスポンサー収入も伸ばせないと私は前から指摘している。発展させるために現状を正しくとらえ、内容を見直して戦略を立てるのは民間なら当然。ストレートに物を言い、是々非々で判断することは、SSCがスポーツの弊害から離れた組織に成長することにもつながる。

■池田純(いけだ・じゅん)

 1976年横浜市生まれ。早大卒。住友商事、博報堂を経て2011年、株式会社横浜DeNAベイスターズの初代社長。観客動員数、売り上げ拡大に実績を挙げた。日本プロサッカーリーグアドバイザー、大戸屋ホールディングスなど企業の社外取締役なども務める。

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