2019年9月13日(金)

残念がるベイシア、がってん寿司など県内店 今季のサンマ、身は小さく値段2倍「高級魚になってしまう」

 秋の味覚の代表格「サンマ」の本格的な漁のシーズンとなったが、水揚げが少なく小売店などに影響が出ている。水揚げされたサンマは高値だが身が小さく、購入を控える消費者もいる。

 質と量、価格が例年並みに安定して欲しいという期待もある一方、今季の漁獲量が不漁だった一昨年に近い水準になるとの予測もあり、今季のサンマの市況に業者、消費者ともに気をもむ。

 埼玉県深谷市の主婦、榎本正子さん(67)は、普段から行く食品スーパーを何店か回ったが、「どの店も価格が例年より高く、今季はまだ購入していない」と語る。身が小さく、脂の乗りも今ひとつに感じているのも一因だ。昨季に水揚げした冷凍サンマが出回っている時もあるが、手が出ないと話す。

 一日も早く身が大きく価格も落ち着いた生サンマが流通してほしいと切望する。一方、このまま水揚げが少なく高値が続けば「サンマが庶民の魚から高級魚になってしまう。そうなると買わなくなるのではないか」

 「サンマの売り上げは例年9月が一番多いが、今年は未定」。県内で食品スーパーを展開するベイシア(前橋市)の広報担当者は、思うように調達が進まない現状を残念がる。

 同社では例年、9月上旬は北海道根室市の花咲港で水揚げされたものを中心に仕入れ販売を本格化する。しかし今年仕入れ価格が高騰し、店頭価格は例年の1・5倍〜2倍、198〜298円程度で推移している。

 「生で良い商品が手に入れば、もちろん生で販売したい」と強調するも、売り場の維持へ、昨年水揚げし冷凍したものを解凍して提供することも考えているという。また「生のアジやサバ、近年水揚げが回復基調のイワシなどの販売を強化する」と話す。

 「今季分のサンマは昨季中に確保した。今季は提供できる」。「がってん寿司」を展開するRDCホールディングス(熊谷市)の広報担当者は胸をなで下ろす。使うのは昨季水揚げされた冷凍サンマ。6日からサンマやサンマの炙(あぶ)りなどを2貫240円(税別)で提供している。

 近年、水揚げ量が懸念されていることもあり、仕入れ担当が早めに調達を進めた。しかし今季の出だしから水揚げが減少していることから、来季分の確保に悩む。「今季の漁獲量が少ない状況が続けば、価格は高騰する。そうなると来季は販売を休止することも考えなければならない」と語る。

 日本政策金融公庫さいたま支店農林水産事業の錦織秀一統轄は、一般論とした上で不漁要因について「従来の漁場だった海域の水温が下がらず、サンマが来遊して来ないことが考えられる」と話した。

 漁獲量が下がった要因に、近年、中国や台湾の漁船団が乱獲しているとの指摘がある点には「明確な理由とは言いきれず、むしろ水温上昇や海流の変化などのほうが、(不漁の)要因とみるべきではないか」と述べた。

 価格上昇には「出漁しても漁獲量が少ない一方、漁船の燃料費や漁師の人件費がかさみ、高騰している」と指摘した。

 水産庁が7月末に発表した今季のサンマ長期漁海況予報では、1969年に次ぐ不漁だった一昨年に近い低水準になるとみている。今後については「9月末から水揚げが回復してくるとの予測もあるが、その時期にならないと分からない。このまま獲れず高値が続けば、大衆魚のサンマの需要が冷え込んでしまうのではないか」と語った。

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