2019年2月3日(日)

好きだから別れなかった…被害女性の2割 配偶者や恋人間のDV、急に暴力も 支援機関「早く相談を」

DVなどの相談を受け付ける県男女共同参画推進センター=さいたま市中央区新都心
県が中高生や大学生向けに作成したデートDVのパンフレット

 配偶者や恋人間の暴力「ドメスティックバイオレンス(DV)」。恋人同士の場合は「デートDV」と呼ばれ、関係機関への被害の相談は後を絶たない。さいたま市大宮区のビルで1月23日、女性会社員が交際相手だった男に殺害された事件では、女性が男からの暴力などに関して県警に被害届を出そうとした矢先に襲われた。県警は以前から相談を受けていたものの、女性側の意向で事件化は見送られた。支援機関はDVには周期があり、暴力が収まっても繰り返されたり、過激化して急に爆発する傾向があると指摘。「身の危険を感じたら早めに相談してほしい」と訴えている。

■「別れ話のもつれ」

 大宮区の事件では、春日部市の会社員金井貴美香さん(22)が1月23日午後6時ごろ、勤務先があるビル内で、包丁で刺されて死亡した。県警は殺人未遂の疑いで、交際相手だった前橋市職員の男(25)=懲戒免職=を逮捕し、殺人容疑で送検した。「別れ話のもつれでやった」と供述しているという。

 金井さんと家族は昨年9月、春日部署などに男からの暴力を相談していた。署は事実確認して男に口頭警告。その後、暴力や押し掛けなどの行為はなく、11月に相談対応を終えた。

 しかし、12月に金井さんが近くの交番に「(男が)家に来ているようだ」と再び相談した。県警は事情を聴いて交際の継続を確認。金井さん側の「円満に別れたい」「警察は何もしないで」との意向で事件化を見送った。

 今年1月22日、金井さんの父親から「男が近くに来ている」「暴力がある」と相談を受け、翌23日午後9時、金井さんと共に署を訪れて被害届を出す予定になっていた。

■被害受けた女性21%

 2017年度の内閣府の調査によると、交際相手から暴力などの被害を受けた女性は21・4%。そのうち半数以上が別れているものの、「別れたい(別れよう)と思ったが、別れなかった」と答えた人も約2割いた。別れなかった理由で最も多かったのは「相手が変わってくれるかもしれないと思ったから」だった。被害女性を年代別にみると、20代が36%で最も高かった。

 県男女共同参画推進センター(With You さいたま)では人間関係、家族、夫婦などの悩みで、年間8千件以上の相談を受ける。うちDVに関するものは約600件。デートDVは若い世代からの相談が多く、本人以外に親からの相談もあるという。

 都築久江相談担当部長によると、DVには周期があり、加害者が「もうしないから」と優しくなったり、急に爆発する傾向がみられる。「女性が暴力を振るわれても好きだから我慢しようとしたり、大げさにしたくないと周囲に相談しなかったり、報復を恐れて精神的に追い詰められ、冷静に判断ができなくなる。別れられずにずるずるいくケースが本当に多い」と話す。

 当事者同士の話し合いで解決しようとすると、口論になったり、再び暴力に発展する可能性があるため、家族や知人、関係機関への相談を勧める。「緊急の場合は迷わず110番。どうしていいか悩んでいるときはセンターに相談してほしい」と訴える。

■パンフレット作成

 県は若い世代への周知を重視し、中高生や大学生向けのパンフレットを作成。県内の中学3年生全員に配布している(さいたま市を除く)。都築部長は「男女が対等に付き合うために、暴力が安直な解決手段とならないよう、若いうちからの予防啓発に取り組むことが大切」と話した。

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