2018年7月16日(月)

特徴ある鳴き声確認…中国原産の外来セミ、今年の発生始まる 調査3年目、在来種への影響「ほぼない」

竹林で調査する(左から)林正美さん、碓井徹さん、植村雄一さんら=2日、川口市赤山
タケオオツクツク(上)とアブラゼミ(下)(碓井徹さん撮影)
タケオオツクツクの抜け殻=12日、川口市赤山

 中国大陸原産の大型のセミ「タケオオツクツク(学名=プラティロミア・ピエリ)」の生息が確認されている川口市赤山地区で、埼玉大名誉教授の林正美さん(69)らによる「セミ外来種調査グループ」の調査が再開された。雄の抜け殻3個が2日に見つかり、今シーズンの発生が始まったことが判明し、特徴のある鳴き声も確認された。

 このセミはアブラゼミより大きく、体長は4〜5センチ。羽は透明で抜け殻は赤褐色だ。

 「中国の研究によると、卵から成虫まで6年かかる。夏に竹の枯れ枝に産み込まれた卵は翌年の夏にふ化する。幼虫はそのまま地上に落ち、すぐに地中に潜り、竹の地下茎にしがみつき、そこから竹の汁を吸いながら5年かけて成長し、6年目の夏に地表に出て、脱皮してセミとなる」と林さん。

 発生が確認されたのは同地区のモウソウチクの竹林。成虫が鳴くのは日没前後の1時間ほど。高所の葉陰に止まるため、姿は見られにくい。林さんらはこのセミが竹に寄生することから「タケオオツクツク」と呼んでいる。

 「生息地や周辺の環境からみて、明らかに自然分布ではなく、何らかの経緯で移入されて定着した外来種である」というのが調査グループの判断だ。「幼虫が5年間の地下生活でどういう生活をしているのか、羽化した後の生活もまだ分からないことがある」と林さんは話している。

 在来のセミに対する影響について、同グループが昨年、学会に発表した資料では「これまでの観察では、その影響はほとんどないように思われた」としている。報告では「竹林とその周辺に限って生息することや生息するアブラゼミなど5種のセミが干渉されずに一緒に鳴いていたことなどから影響はあまり考えられない」との見解を示している。

 「タケオオツクツク」は2016年8月、昆虫研究者の碓井徹さん(64)=NPO埼玉県絶滅危惧動物種調査団代表=が川口市赤山で、聞き慣れないセミの鳴き声を録音。数日後、林さんと碓井さんが現地を調査し、成虫と抜け殻を採集した結果、中国浙江省からベトナムに至る中国大陸東部に広く分布するセミと断定した。

 これまでのところ、生息は川口市安行地区だけで確認されているが、林さんらは「全国的な調査が必要。情報がほしい」としている。

 鳴き声は碓井さんが録音したものを、埼玉昆虫談話会のホームページから聴くことができる。

■「マナー守って」

 生息が確認された場所は、県指定文化財の赤山城跡のエリア内にあるモウソウチクの林。市教育委員会が管理する「市管理地」や私有地は立ち入り禁止だ。調査グループは県や市の教委の許可を取得し、調査を続けているが、地面を掘り返すのも現状を荒らさないように慎重に行っている。

 立ち入り禁止エリアの外側の木道などでも幼虫の観察や採集は十分に可能だ。林さんらは「観察や採集は進入禁止の場所には絶対に入らないよう柵の外で行い、マナーを守ってほしい」と話している。

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