2018年4月29日(日)

アイドルの躍動、ファンの興奮をデータで送信 衣装のLEDやペンライト点灯、埼玉大学が応援システム開発

埼玉大学のアイドルダンスサークル「SKR48」や学生の協力で実施した実証実験=1月10日、さいたま市桜区の埼玉大学(同大提供)

 県内では近年、大規模なアイドルコンサートが多く行われている。そのような埼玉からコンサートの興奮をさらに高めようと、アイドルとファンの気持ちを一体化させる「双方向アイドル応援システム」を、埼玉大学が開発した。システムは、ステージで元気よく踊ったり歌ったりするアイドルの躍動を、ファンが持つペンライトに光や振動でリアルタイムで伝えファンの興奮を高めるほか、ファンの熱狂がアイドルにも伝わり、双方の距離を近づける。同大学はこのシステムが、転倒した高齢者の振動を遠隔地に伝えるなど介護分野での応用活用も可能とみて、研究を進めている。

■きっかけは「ふりまね」

 システムは、同大学理工学研究科の小林貴訓(よしのり)准教授が開発した。日本のアイドル文化を研究する、同大学人文社会科学研究科の山崎敬一教授から「アイドルのコンサートを盛り上げるデバイスがあると面白い」と相談されたのがきっかけだった。

 アイドルのコンサートに足しげく通った小林准教授。ファンがペンライトを持ちながら、アイドルのダンスをまねして踊る「ふりまね」に目を付けた。「アイドルの動きが、ファンに直接伝わるデバイスがあれば、ファンの興奮を高められる」

 約1年かけ開発したシステムは、マイクで測定した歌声の強さや手首に着けたセンサーで検知した動きのデータを無線で送信。信号をファンのペンライトに送り、ペンライトの色や明るさを変えたり、振動させる。インターネットを通じて遠隔地に送信可能で、別会場にもライブ配信映像とともに、伝達できる。

 さらに、観客がペンライトを強振すると、アイドルの衣装に付く発光ダイオード(LED)電球が点灯。アイドルが身に付けるLEDの色と同じペンライトをファンが選べば、特定のメンバーの躍動が直接伝わるほか、自分の熱気も直接反映できる「双方向のアイドル応援システム」と力を込める。

■芸能プロと実証実験も

 ことし1月10日には、同大学のアイドルダンスサークル「SKR48」や学生の協力を得て、実証実験。SKRからは「自分の動きが光や振動になるので、振りを大きくした」、観客は「一体感を感じた」「衣装が光るので、ペンライトを強振した」など、高評価を得た。

 現在、関心を持つ芸能プロダクションと、実用化へ向け具体的な演出方法などの打ち合わせを始めた。100本までしか対応できないペンライトの本数を数千本まで可能にして、来春には本番での実証実験を見据えている。「コンサートが盛んな埼玉から、演出の技術革新を狙う」と鼻息も荒い。「技術を高め、歌舞伎での活用を目指す」と、夢も膨らむ。

■福祉分野にも応用へ

 小林准教授は、システムの機能を応用すれば、高齢者などの「遠隔地からの見守り」もできると考えている。「大きな動きを察知するセンサーを装備すれば、データはインターネットで送れるので、転倒などの振動を検知し、遠くにいる人に伝達が可能」と話す。高齢者や子どもが、直接センサーを付ければ見守りになるという。

 今後は、システムの技術を介護支援で生かせる分野を摸索するとした上で、「日本が得意とする、現在ある技術とうまく組み合わせることで、福祉に役立つものを、生み出したい」と意欲を示している。

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