2018年3月10日(土)

鉄道博物館に1両のみ現存、電気機関車ED40形が国の重要文化財へ 大宮工場で製造、信越本線で活躍

鉄道博物館1階車両ステーションで展示されている「ED40」形電気機関車=さいたま市大宮区

 国の文化審議会は9日、三十三間堂(蓮華王院本堂、京都市)に並ぶ1001体の千手観音立像など5件の美術工芸品を国宝に、ED四〇形式一〇号電気機関車(鉄道博物館、さいたま市)やキトラ古墳(奈良県明日香村)の極彩色壁画など50件を重要文化財に指定するよう林芳正文部科学相に答申した。近く答申通り指定され、美術工芸品の重要文化財は1万735件(うち国宝890件)となる。

 さいたま市大宮区の鉄道博物館で収蔵、展示されている電気機関車「ED40」形が国の重要文化財(美術工芸品)に指定されることになった。

 展示されているED40は1921(大正10)年、当時の鉄道省大宮工場(現JR東日本大宮総合車両センター・さいたま市大宮区)で製造された。活躍した線区は信越本線の横川―軽井沢駅間。同線は1921年に電化され、電気機関車が導入されるまでは蒸気機関車が使用されていたが、輸送力が不足する上に、連続するトンネルで煙が車内に充満して乗務員も乗客も苦しんだという。

 本線用として日本で初めて開発された国産電気機関車ED40は、19(大正8)年に大宮工場で製造が始まり、造られた14両のうち、現存するのは同館の1両のみ。群馬、長野県境にある碓氷峠の急勾配の坂を走るため、歯車の付いたレールと車体下のギアをかみ合わせて走る「アプト式」が採用された。

 同館のED40は21年から23年間、碓氷峠で活躍した後、44年に東武鉄道に貸し出しされ、48年に譲渡。68年に当時の国鉄に返還された。以来、大宮総合車両センターで保存され、2007年の鉄道博物館開館時から館内の車両ステーションに展示されている。

 同館学芸員の奥原哲志さん(53)によると、全長約9・8メートルの車両は国鉄に返還された際に修復され、外観はほぼ完成当時のままという。洗練された現代の車両にはないごつごつとした武骨な車体は、厳しい環境に立ち向かった100年前の日本の鉄道技術の高さや、鉄道に携わった人たちの気概や力強さを漂わせる。

 奥原さんは「大宮で造られ、日本の近代化をいわば裏方で支えた電気機関車。当時の技術者の進歩へ向けて費やした苦労や、それを可能にした大宮工場の技術の高さを感じてほしい」と話している。

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