2018年3月9日(金)

<熊谷6人殺害>被告に死刑公判 さいたま地裁、完全責任能力を認める 弁護側は即日控訴

 熊谷市で2015年9月、小学生姉妹ら6人が殺害された事件で、強盗殺人の罪などに問われたペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン被告(32)の裁判員裁判の判決公判が9日、さいたま地裁で開かれた。佐々木直人裁判長は「犯罪になると分かっていながら、あえて各犯行に及んだ」と被告の完全責任能力を認め、求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は判決を不服として、東京高裁に即日控訴した。

 判決理由で佐々木裁判長は、ナカダ被告に被害妄想や追跡妄想があったものの、「金銭に窮し、手っ取り早く金品を得ようとする現実的な欲求で、侵入窃盗や強盗の犯行を決意した動機は十分に了解可能」と指摘。現金を入手した後にコンビニエンスストアで買い物をしようとしたり、盗んだ包丁を凶器として使用するなど、「金品入手の目的に沿った一貫したまとまりのある行動だった」とした。

 また、包丁を発見困難な場所に捨てたり、現場の血痕を拭き取ったり、着衣を着替えるなど、「罪証隠滅に意を払う冷静さのみられる行動を取っている。自己の行為が法に触れることは理解していたとみるのが相当」と述べた。

 その上で「強固な殺意に基づく残虐な犯行。何ら落ち度のない6人の命が奪われた結果は極めて重大」と断じた。弁護側は「統合失調症の圧倒的な影響で心神喪失だった」として無罪を主張していた。

 判決よると、ナカダ被告は15年9月14〜16日、熊谷市見晴町と石原の住宅3軒に侵入し、田崎稔さん(55)と妻美佐枝さん(53)、白石和代さん(84)、加藤美和子さん(41)と長女の小学5年美咲さん(10)、次女の小学2年春花さん(7)=年齢はいずれも当時=を包丁で刺すなどして殺害。田崎さん方から自動車や現金約9千円、包丁など、白石さん方から包丁、加藤さん方から車の鍵を奪ったほか、白石さんの遺体を浴槽に、加藤さん母娘の遺体をクローゼットに遺棄した。

 弁護人の村木一郎弁護士は「妄想の影響で動機を形成したと言っている一方、犯行を正常な犯罪者の心理と結び付けるのは、ひどい判決で、滑稽な判決」と批判した。

 さいたま地検の古谷伸彦次席検事は「検察官の主張が認められた適正な判決だと理解している」とコメントした。

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