2018年1月25日(木)

受けた被害知らず死亡後に判明 さいたまの旧工場周辺の住民、石綿特有のがん「中皮腫」認定 住民3人目

 旧日本エタニットパイプ(現リソルホールディングス)大宮工場(現さいたま市中央区上落合)の周辺住民2人が、国からアスベスト(石綿)特有のがん「中皮腫」と認定された問題で、2013年に75歳で亡くなった住民の男性が今月、石綿による中皮腫で死亡したと新たに認定されたことが24日までに分かった。周辺住民では3人目で、死亡後に判明した人は初めて。男性は被害を受けた可能性を知らないまま亡くなっており、同様のケースが他にもあるとみられている。

 今回認定されたのは、1969年から85年まで、大宮工場から約300メートルの場所に住んでいた元会社員の白田操さん。「エタニットによるアスベスト被害を考える会」や石綿問題に取り組む牛島聡美弁護士の調査で分かった。

 白田さんの妻(73)と牛島弁護士によると、白田さんは2012年春ごろに胸の痛みを訴え、さいたま市内の病院で検査した結果、肺がんと中皮腫と診断された。13年3月に転院先の病院で死亡した際、死亡診断書には直接死因として肺がんのみが記載されていた。

 妻は14年、「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づき、環境再生保全機構に申請したものの、中皮腫と認められなかった。その後、16年に2度目の申請を行い、今年1月4日に認定された。白田さんは生前、複数の企業で営業職を務めており、石綿で労災認定された事業所などで働いたことはなかった。

 大宮工場は1933〜82年に稼働し、石綿セメント管を製造していた。周辺住民では、工場から約200メートルに居住の主婦松井絵里さん(48)と別の男性の住民2人が国から中皮腫と認定を受けている。

 この問題ではさいたま市が昨年、環境省の進める健康被害に関する試行調査の実施を決定。2006年度に同省が調査を開始してから約10年が経過していた。市の調査結果は明らかになっていない。

 牛島弁護士は「肺がんと診断されてもアスベスト被害の可能性がある。市の調査対象は存命の人のみで、亡くなった人の情報収集が足りない。過去の掘り起こしと検証を十分に行い、見落としがないようにしてほしい」と話している。

購読申し込み 携帯サイト