2017年12月30日(土)

年間600本超のロケ、埼玉が選ばれる理由 「陸王」は地元民4万人エキストラ 撮影まで円滑に進む工夫

多くの行田市民らがエキストラとして参加した「陸王」の撮影=行田市内

 行田市を舞台に老舗足袋業者の奮闘を描いたTBSドラマ「陸王」(10〜12月放送)には、忍城址やさきたま古墳公園など同市を中心に県内の名所や観光スポットが登場した。さらに陸王の同市内のロケには延べ約4万人の地域住民らがエキストラとして出演し、ドラマを下支えした。東京都内の制作会社が映画やテレビドラマ、CMなどの撮影で首都圏でロケを好む傾向にあり、埼玉県は撮影場所の紹介やエキストラを手配するフィルムコミッション(FC)の活動も活発だ。県内では2016年度、映画やCMなど600本以上の撮影が行われた。

 同市商工観光課によると、陸王が同市内で行われた撮影には、延べ約4万人がエキストラとして出演。駅伝やマラソンのシーンでは、多数の沿道で応援する人が必要となり、同課内の「行田フィルムコミッション」が市立小中学校24校の児童生徒や市内の高校の保護者らに出演を呼び掛けたという。同課は「撮影を通じて陸王のファン、応援者になった市民もいた」と振り返る。

 県の公式観光サイト「ちょこたび埼玉」では、県内のFCとロケーションサービス(LS)の32団体(12月現在)を紹介。県観光課よると、32団体は47都道府県で4番目に多い。同課が16年度に初めて集計した撮影実績によると、同年度は県内で600本以上の映画やテレビドラマ、CMなどが撮影された。

 全県を対象にしたFC・LSの窓口を務める県物産観光協会の斉藤哲也さん(45)は「600本は全国的に見てもかなり多い。東京の制作会社が近郊のロケ地を好む傾向にあり、埼玉は湖、川、山などの自然も豊富なのが強み」と、“人気の要因”を分析する。

 良好なアクセスと豊かな資源を生かしているのが「所沢市ロケーションサービス」(同市商業観光課内)だ。市西部に狭山丘陵、中心部に高層マンション、東部には畑が存在し、幅広く多様なシーンに対応できる。制作会社からロケ地に関する相談を受けると、担当職員が施設や市民に直接交渉することで、同課は「撮影まで円滑に進む」と話す。

 14年度に53本だった映画やドラマ、情報番組などの同市内の撮影本数が、16年度には113本と倍増。同課は「ロケ地としての文化が市内で育まれている」と手応えを感じている。

 07年4月に発足し、福山雅治さん主演映画「そして父になる」など、約60作品のロケ協力実績がある「ヨリイフィルムコミッション」(寄居町)の大橋正宏代表(50)は「地元の人や場所が作品に出る喜びを共有し、郷土愛を再認識できることが重要」とFCの意義を語る。

 県ではFC、LS関係者らを対象に、ロケ誘致のノウハウや観光に生かした先行事例を紹介するセミナーを開催するなど、ロケ誘致の活性化を図っている。

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